イギリス政府は24日、香港市民の英国での長期滞在や就学・就労を許可する特別ビザについて、若年層に対して条件緩和する政策を発表した。親の意思で特別ビザを申請できないケースなどに対処するもので、10月の施行を目指す。
特別ビザは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が所有するイギリス海外市民(BNO、British National Overseas)パスポートの保持者とその扶養家族が対象。BBCの報道では、BNOパスポートの所持者は約290万人、その扶養家族は230万人となっている。
特別ビザは2020年6月、中国共産党政権が香港版国家安全法を施行したことを受けて、英国政府によって導入された。5年間の居住が認められるほか、就学や就労も可能。5年後には市民権を申請する資格が与えられる。特別ビザの申請受付は2021年1月31日に始まり、申請者数は同年末までに10万3900人に上った。
申請の過程で特別ビザの問題点も明らかになった。フォスター英移民担当相は24日の声明のなかで、1997年7月1日以降に生まれた香港市民は申請資格を持つ親の扶養家族として申請する規定となっているため「親が特別ビザを申請を希望しない場合や、親とは別世帯の場合、または親と同時に申請することが不可能な場合には、若い香港市民は特別ビザを申請できなくなってしまう」と指摘した。
新しい政策では、特別ビザの取得資格を有する親を持つ18歳以上の香港市民であれば、親の態度にかかわらず個人として特別ビザの申請が可能となる。フォスター氏は、新しい政策によって若い香港市民の間の不公平な違いが消去されると述べた。
声明によると、政府は9月をめどにビザ規定を変更し、10月より新しい政策の適用を始める予定だ。
適用拡大を求めて活動してきた英NGO団体・香港ウォッチは政府発表について、「勇敢で人道的な一歩」であるとして歓迎した。
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