ウガンダ専門家、中国による債務トラップに警鐘「すでに危険な水準」

2019/09/05
更新: 2019/09/05

アフリカウガンダ共和国議会の委員会は、中国からの借入を縮小するよう政府に求めた。議員たちは、東アフリカ諸国が抱える対中債務は過大な負担になると懸念している。

8月29日、国民経済委員会は声明で、「中国の融資が非譲許的なものであるため、国の債務負担は急速に増えることになる」と警告した。

債務と貧困に関する国家政策提言組織ウガンダ債務ネットワーク(UDN)によると、同国は現在、中国に対して30億ドル以上の借金を抱えている。多くは、道路や水力発電ダムの建設といったインフラプロジェクトのための資金調達から生じた。

UDNの政策担当役員ジュリエット・アケロ(Juliet Akello)氏は大紀元の取材に対して、中国は、厳しい融資条件を提示する従来の貸し手とは異なり、チャイナマネーはすぐにでも使用できるが、不公平な条件が付いており、ウガンダにとって「致命傷となる」巨額な債務負担になると述べた。

アケロ氏は、世界銀行の報告を引用して、中国の融資プロジェクトは従来の融資より4倍もの返済額になると説明した。「国がデフォルトになれば、中国は重要な国家資産の差し押さえなど、何でも取るようになる。こうした事態は、すでに他の国で起きている」

ウガンダ財務省の記録によると、同国は中国政府系の輸出入銀行を通じて、エンテベーカンパラ(Entebbe-Kampala)国際空港を結ぶ高速道路に3億5000万ドル、道路ネットワーク建設に1億ドル、イシンバ(Isimba)水力発電所に4億8300万ドルの融資を受けた。UDNによると、他にカルマ(Karuma)水力ダムなどもあるという。

UDNによると、2010年1月から2016年6月の間、ウガンダ政府は96件、計88億ドルの融資契約を締結した。最大の債権国は中国で29%だった。次に大きいのは世界銀行27%、アフリカ開発銀行21%。中国融資の割合はさらに増える見通しで、2017~18年に結んだ融資の39%は中国金融機関からだ。

ドイツ拠点のシンクタンク・キール研究所は7月、ハーバード大学の債務専門家カルマン・レインハート(Carmen Reinhart)氏ら共同報告の中で、「中国はいまやIMFや世界銀行による融資をはるかに上回る世界最大の債権者」と例えた。

さらに、報告は「低所得の発展途上国は、たいてい中国国営銀行から直接融資を受けており、多くは市場金利で、石油などの担保で裏付けられている」とした。

ウガンダの国家財務監査官ジョン・ムワンガ(John Muwanga)氏もまた、不利な条件のついた融資を結んだことで、国の資産の一部を失うリスクがあると警告した。「融資に付随する国有資産が失われ、主権の喪失にさえつながる恐れがある」とムワンガ氏は述べた。

2月、中国の不良債権についてヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領に警告する秘密の手紙がメディアに流出した。国内有力紙「インディペンデント(The Independent)」は、これを財務大臣マティア・カサイジャ(Matia Kasaija)氏が書いたものだと報じた。

同紙が報じた書簡の内容は衝撃的だ。ウガンダは、北京で輸出入口座を開設し、担保としての資産を預け入れる。債務不履行などローンの支払いに失敗した場合、その資産が差し押さえられるという。

「中国の債務に関して、資産の乗っ取りから国を守る行動をとるべきだと考える」と、カサイジャ財務大臣の手紙には書かれているという。

しかし、財務省は世論を落ち着かせるためか、中国によるウガンダ国家資産の押収はないとのコメントを発表した。「ウガンダの経済はより速いペースで成長しており、大きな事件さえなければ、中国の融資を受け入れることを止める要素は何もない」

持続不可能な計画

しかし、この財務省の発表に、専門家は否定的な見方を示す。経済アナリストでマケレレ大学の経済学教授アーロン・ムクワヤ(Aaron Mukwaya)氏は、中国がすでにいくつかの国で債務の未払いをめぐって財産を没収しているならば、ウガンダでも起こりうることだ、と大紀元に述べた。

「中国は、融資、インフラ構築、および通信技術5Gの導入を通じて、アフリカ、アジア、およびヨーロッパの一部の機能を制御し支配する計画がある。また、経済援助を提供する国に対して、中国語を教えている。実際、支援計画に伴って、多くの中国人もまた将来的な支配に備えて、ウガンダに来ている」

最近、ウガンダ財務長官キース・ムハカニジ氏は、政府に過剰借入を警告した。国家債務は42兆ウガンダ・シリング(約12兆円)に達したと報告した。現地紙デイリーモニターは、すでに資産管理が不能な規模だと報じた。

「すでに危険な水位だ。水を減らさなければ、持続不可能な借金に陥る可能性があることを政府に警告している」とムハカニジ氏は会見で述べた。

2021年の選挙までにムセベニ大統領の弾劾計画を立てている政治組織「ピープルパワー」の呼びかけ人ヘンリー・オクウィ(Henry Okwi)氏は、政府が中国融資を停止しない場合、デモを行うという。

「政府が中国から不可解な融資を受けるのを止めなければ、私たちは必ずデモを行う。私たちの国は危機に瀕している。中国はウガンダに多額の融資をしており、ウガンダはすでに負債に苦しんでいる」と大紀元の取材に述べた。

(GODFREY OLUKYA/翻訳編集・佐渡道世)