中国共産党(中共)は世界各地で港湾への投資や運営に関与し、世界の海運ネットワークへの影響力を広げている。こうした動きに対し、背後には政治的、軍事的な目的があるのではないかとの懸念が、各国で強まっている。
最近では、トランプ政権による度重なる圧力を受け、パナマが、香港の長江和記実業(CKハチソンホールディングス)が管理していたパナマ運河周辺の2つの重要港湾について、管理権を回収した。
これに対し、中共が反発し、報復措置に出たとの見方も出ている。情報によると、パナマ船籍の複数の船舶が最近、中共によって相次いで拿捕されたという。
台湾国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長は、「主な目的は戦略的な展開であり、受け入れ国の利益を第一に考えているわけではない。中共はこうした動きを長期的に進めてきた。まず、受け入れ国の経済発展に深く影響を及ぼす。投資や運営支援を名目に、実際には現地の政治や企業との関係に影響力を及ぼす。これは、商業を通じて政治的影響力を広げる手法でもある」と分析した。
米国会議員は4月、アメリカがペルーに対し、中共に握られているチャンカイ港の管理権を取り戻すための支援を行っていると明らかにした。同時に、インドもスリランカの港湾運営への関与を強めている。
台湾開南大学の陳文甲副学長は、「中共が世界の港湾建設に積極的に関与している目的は、単に受け入れ国の経済発展を支援することではない。世界規模で海洋権益と戦略的影響力を広げるネットワークを構築することにある」と述べた。
また、「中共は『一帯一路』を通じて、パナマ、スリランカ、ペルー、ソロモン諸島などの重要港湾に投資しており、実際には世界各地に海上戦略上の拠点を築いている」と付け加えた。
蘇氏は、中共の港湾投資には複数の狙いがあると指摘する。
「第一に現地国への政治的影響、第二に現地経済から利益を吸い上げること、第三に軍事目的だ。中でも最も核心となるのは軍事面である。受け入れ国に鉱物資源がある場合、中共は港湾建設を名目に、政治、軍事、経済、資源確保を同時に進めることができる」
米シンクタンクの研究者ブランチャード氏は最近、寄稿の中で、多くの国が当初、中共による港湾建設への参加を歓迎していたのは、中共が現地経済を活性化させることを期待していたためだと指摘した。
しかし問題は、中共と関係のある企業に港湾が支配されれば、港湾に関する情報、すなわち船舶の運航データ、貿易の流れ、さらには重要資源の輸送状況まで、中共に把握される可能性がある点だ。
陳氏は、「さらに注意すべきなのは、中共が中国の技術標準、デジタル・物流システム、さらに金融面での依存関係を同時に輸出していること。その結果、港湾運営は徐々に制度面でも中共に依存していくことになる。言い換えれば、中共が本当に構築しようとしているのは、単なる商業航路ではなく、中国の世界戦略を支える海洋影響力の基盤なのだ」と語った。
仮に中共がこれらの外国港湾の輸送を直接操作しなかったとしても、中国製品の流入が拡大し、貿易赤字の拡大などの悪影響をもたらす可能性がある。さらに、一部の国が重い債務負担や技術面での依存に陥る恐れもある。
蘇氏は次のように警鐘を鳴らす。
「第一に、経済が北京に左右される可能性がある。将来的には、港湾設備の故障などを口実に、相手国に圧力をかける手段として利用されるかもしれない。第二に、西側民主主義国の軍事展開をけん制する手段にもなり得る。関連情報を収集することも可能になる」
さらに懸念されるのが、軍事面でのリスクだ。分析によると、中共は海外港湾を利用して、外国軍艦や物資の移動に関する情報を収集する可能性がある。将来的には、一部の港湾を軍事補給拠点へと発展させる恐れもあるという。
陳氏は、「問題は、中共の港湾展開が高度な軍民両用の性質を持っていることだ。平時には商業港であっても、戦時には補給基地や情報伝達の拠点、軍艦の寄港地となる可能性がある。さらに中共は港湾システムを通じて、海運、エネルギー、軍事動向に関する情報を収集し、地域の物流や海上交通の動向を把握することができる」と分析している。
過去20年にわたり、中共と関係のある企業や銀行は、港湾の株式保有と運営をめぐる複雑なネットワークを築いてきた。その範囲は地中海から南太平洋にまで及んでいる。
陳氏は、国際的な緊張が高まった場合、中共は港湾への影響力を利用して、エネルギー輸送、海上交通、世界のサプライチェーンの運営に影響を及ぼす可能性があると指摘する。これにより、経済、政治、軍事を連動させた形で、世界的な影響力を拡大する構図が浮かび上がるという。
米シンクタンク、ランド研究所の報告書によると、2025年時点で、中国企業は海外の深水港90か所以上を所有または運営している。
蘇氏は、「西側民主主義国は、まず警戒を高める必要がある。次に、中共がすでに投資や影響力を広げている港湾については、段階的に関与を見直し、影響力の偏りを是正していくべきだ」と述べた。
専門家は、民主主義国が今後、港湾の安全審査を強化するとともに、サプライチェーンの代替ネットワークやインフラ投資を進める必要があると指摘している。同時に、海上安全保障の協力体制を構築することも求められている。
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