中国人の男が米マサチューセッツ州で別の中国人男性になりすまし、2024年の米大統領選で不正に投票したとして起訴した。男はさらに、被害者夫妻が自ら永住権を放棄したように装う書類を偽造し、夫妻が国外退去手続きの対象となる事態を招いた。
米司法省は8月19日、33歳の中国人、ユーペン・スン(Yupeng Sun)を、有権者登録に関する虚偽申告と不正投票の罪で起訴したと発表した。スンは同日午後2時、ボストンの連邦裁判所に初出廷する予定だ。
資料によると、スンは2024年10月10日、マサチューセッツ州に住む永住者である中国人男性になりすまし、同州州務長官のサイトを通じてオンラインで有権者登録を申請した。
さらに同年10月31日、同じ人物を装ってモールデン市庁舎で2024年米大統領選の期日前投票を行った。
スンはこのほか、被害者とその中国籍の妻になりすまし、夫妻が自らアメリカの永住権を放棄したように装う虚偽の移民関連書類2通を提出した疑いも持たれている。
夫妻は2024年6月、海外旅行を終えてアメリカに戻った際、ボストン・ローガン国際空港で追加審査を受け、グリーンカードを没収され、国外退去手続きの対象となった。
起訴状によると、スンは中国陝西省生まれの中国人。2020年9月22日にB-2観光ビザでアメリカに入国し、ビザは2021年3月21日に失効した。2022年2月11日にUビザを申請し、現在は国外退去を一時猶予されている。
裁判資料によると、被害者のJ.L.はスンの中国人家主だった。スンは2021年から2023年にかけてJ.L.宅を借りて住み、家主の家族との間で複数のトラブルがあった。
スンは2023年5月、家主の成人した娘Z.L.に暴行した疑いで警察に逮捕されたが、その後、起訴は取り下げられた。その後、家主の娘との間で民事訴訟にも発展した。
宣誓供述書によると、スンは捜査当局の聴取に対し、家主夫妻とその娘に強い不満を抱いていたと話していた。
その後、移民裁判官は家主夫妻の証言と筆跡鑑定の結果を踏まえ、夫妻が永住権放棄に関する書類に署名していなかったと認定。2026年1月、2人の永住権を回復した。
2026年には、米国土安全保障省と米市民権・移民局(USCIS)に、家主の不正投票を告発する匿名の通報が複数寄せられた。
捜査当局によると、通報の追跡記録に残されたIPアドレスなどの接続情報が、スンの端末の記録と一致した。
スンは7月に捜査官の聴取を受けた際、匿名の通報を送ったほか、家主になりすまして有権者登録を行い、家主名義で実際に投票したことを認めた。さらに、永住権放棄に使われるI-407の署名も偽造したと認めた。
米連邦当局は、有権者登録に関する虚偽申告と不正投票の罪でスンを刑事訴追している。
いずれの罪も、有罪となった場合は最高5年の禁錮、3年の監督下釈放、25万ドルの罰金が科される可能性がある。スンは刑期終了後、国外退去となる見通しだ
起訴内容は今後、裁判で審理される。現時点で有罪が確定したわけではない。
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