高市内閣 原発建て替えへ行動指針 2040年代に2~5基必要

2026/07/31
更新: 2026/07/31

高市早苗首相は、第14回「原子力関係閣僚会議」で、原子力を最大限活用するための新たな「行動指針」を決定したと明らかにした。

政府は、AIの普及などによる電力需要の増加や、中東情勢を踏まえたエネルギー安全保障の強化に対応するため、原子力発電所の建て替えや次世代革新炉の導入を進める。

行動指針では、2040年代までに2~5基、2050年代までに累計11~14基の原発を建て替える必要があるとの見通しを示した。

原発建て替え、2040年代に2~5基が必要との見通し

政府が示した見通しによると、一定規模の原子力発電能力を維持するためには、2040年代までに約220万~550万キロワット、原子炉の基数に換算して約2~5基の建て替えが必要となる。

2050年代までには、2040年代分を含めて累計約1270万~1600万キロワット、約11~14基の建て替えが必要になるとしている。

高市内閣は、この見通しを踏まえ、原子力発電への投資を促進し、原発の建て替えを含む原子力政策を前進させる方針だ。

原子力を「最大限活用」する背景

政府が原子力の活用を強化する背景には、エネルギー安全保障と脱炭素への対応がある。

中東情勢など国際情勢の変化を踏まえ、特定の国や地域に依存しないエネルギー供給体制の構築が課題となっている。

また、AIやデータセンターの普及などによって国内の電力需要が増えると見込まれており、安定した電力供給の確保も重要性を増している。

政府は、原子力発電をエネルギー安全保障と脱炭素の双方に寄与する電源と位置付け、最大限活用する考えを示した。

次世代革新炉の導入に向けた3つの取り組み

安全性を高めた次世代革新炉の早期導入に向け、政府は主に3つの取り組みを進める。

事業者の予見可能性を高め、原発投資を促進

原子力事業者が将来の事業環境を見通しやすくなるよう制度を整備し、研究開発や投資判断を加速させる。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の役割を脱炭素エネルギー全般に拡大し、原子力やフュージョンエネルギーの研究開発に対する資金供給機能を抜本的に強化する。

SMRの国内導入と開発を加速

海外で開発や導入計画が進んでいるSMR(小型モジュール炉)の国内導入を目指す。

日本企業によるSMR開発を加速するとともに、安全性研究などを担うJAEA(日本原子力研究開発機構)の機能を強化する。

原子力産業の基盤と人材育成を強化

原子力発電所で使用する部材を製造する企業に対し、生産設備や製造能力の強化を支援する。

原子力分野の人材育成に向けたロードマップも作成し、政府、産業界、大学などが連携して技術者や研究者の育成を進める。

放射性廃棄物の最終処分方針も改定

高レベル放射性廃棄物の最終処分については、政府の基本方針を改定する。

文献調査など各段階の調査内容に応じて、調査を受け入れる自治体の負担を軽減する措置を進める方針だ。

最終処分場の選定を巡っては、地域住民への説明や自治体との合意形成が引き続き重要な課題となる。

原発審査の合理化と規制体制の強化へ

原子力利用の前提となる安全性の確保については、原子力規制委員会が制度の見直し案を説明した。

原発の立地地点が地震などに関する基準に適合しているかを事前に確認するなど、審査手続きを合理化する仕組みが検討される。

六ヶ所再処理工場の竣工を見据え、査察などに対応する独立行政法人を設置する構想も示された。

政府は、こうした制度変更を支えるため、原子力規制に関する組織や人員などの体制を強化する。

8月末のエネルギー政策パッケージに反映

高市内閣は、今回決定した行動指針を速やかに具体化し、8月末までに取りまとめる「エネルギー需給構造強靱化パッケージ」に盛り込む方針だ。

今後は、原発建て替えを促す投資制度の具体化に加え、安全性、建設費、電力コスト、立地自治体や住民との合意形成などが焦点となる。

 

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。