中国 過去には病院で骨髄の無断採取事件も発覚

「脳脊髄液を病院に盗まれた」 中国の母親が涙の告発

2026/07/19
更新: 2026/07/19

「私たち普通の人間の命は、命ではないのですか」

中国で、一人の母親による涙ながらの訴えが大きな波紋を広げている。女性は、自分と13歳の娘が病院で脳脊髄液を無断で採取されたと主張し、「証拠はあるのに、どこへ訴えても取り合ってもらえない」と悲痛な思いを語った。

脳脊髄液は脳や脊髄を守る重要な体液で、通常は病気の診断など医学的に必要な場合に限って採取する。医学的な必要性や適切な手続きを経ずに採取することは、通常の医療では想定していない。

女性によると、自身は河南省で交通事故による骨折の治療を受けた際、全身麻酔中に脳脊髄液を採取されたという。

さらに、13歳の娘も江蘇省鎮江市で脳脊髄液を無断で採取されたとし、娘のMRI画像を公開した。娘は食事も取れず、命の危険がある状態だという。

動画では、女性が涙を流しながら「中国に法律はあるのか」「私たちには生きる権利もないのか」と繰り返し叫んでいる。

動画は中国のSNSで大きな話題となり、一時は検索ランキングにも入った。SNSでは、「脳脊髄液に含まれる細胞を利用し、富裕層向けの若返り医療に使っているのではないか」と受け止める声が相次ぎ、不安が急速に広がった。

こうした疑念の背景には、近年、中国や香港の著名人が突然若返ったように見えるとして、SNS上でさまざまな憶測が広がっていることがある。

中国の美容医療グループ「虞美人(Yu Meiren)」の創業者で女性実業家の于文紅氏は、若者の血液から抽出した「微小胞」やたんぱく質成分を利用すれば、中高年でも短期間で若返ることができると公に宣伝してきた。

さらに、東南アジアの特殊詐欺拠点の実態を告発するブロガーからは、中国当局と関係がある企業はカンボジアに施設を設け、子供から脊髄液を採取し、その中の細胞を高額な若返り薬の製造に使っているとの情報も発信されている。

一方、中国では過去に、医療機関が患者の体から組織を無断で採取した事件を実際に報じている。

2006年には、遼寧省瀋陽市の奉天病院で、交通事故で入院した女性患者の骨髄が、全身麻酔中に本人の同意なく採取されていた事件が発覚した。当時は複数の中国国内外のメディアが報じ、被害者は一人ではないとの情報も伝えられ、大きな波紋を呼んだ。

今回の女性の訴えの真偽は現時点では確認されていない。しかし、中国では以前から若返り医療を巡る噂や憶測が絶えず、過去には医療機関による無断採取事件も報じられてきた。このため、多くのネットユーザーが「到底あり得ない話とは言い切れない」と受け止め、不安を募らせている。
 

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!