2月9日、中国共産党(中共)当局が掌握する香港西九龍裁判所は香港紙「アップル・デイリー」創業者で78歳の黎智英氏に対し、いわゆる外国勢力と結託した罪2件と、扇動的刊行物を共謀して発行した罪1件について判決を言い渡し、懲役20年とした。
本件を審理したのは、中共当局が国家安全法に基づき指定した3人の国安法指定法官、杜麗氷、李素蘭、李運騰だ。判決理由で3人は、黎智英が事件全体において主導的かつ推進役の立場にあったと認定した。
外国勢力との結託罪については、量刑の基準を懲役15年とし、主導的役割を果たしたとして3年を加算した。扇動罪については21か月を基準とし、さらに2か月を上積みした。一方で、黎氏が78歳と高齢であることや健康状態、長期間の独房拘禁などを考慮し、裁判所は3つの罪それぞれについて1か月、1年、1年の刑期を減刑した。その上で、一部の刑期を同時に執行することとし、最終的な刑期を懲役20年とした。
同じ事件で起訴され、罪を認めていた被告8人についても同日、判決が言い渡された。黎智英氏が創業した香港の大手メディアグループ「壹伝媒(ネクストデジタル)」の元最高経営責任者である張剣虹氏は懲役6年9か月、「アップル・デイリー」元副編集長の陳沛敏氏は懲役7年、元総編集長である羅偉光氏、元執行編集長の林文宗氏、元英語版執行総編集長の馮偉光氏はいずれも懲役10年、元主筆の楊清奇氏は懲役7年3か月、活動家の李宇軒氏と陳梓華氏はそれぞれ懲役7年3か月、懲役6年3か月の判決を受けた。
これを受け、カナダのアナンド外相は即時釈放を求める声明を出した。9日、アナンド外相はXへの投稿で、香港当局が民主派メディア関係者の黎氏に有罪判決を下したことに失望していると表明した。
アナンド外相は、黎氏は78歳で健康状態が芳しくないとした上で、人道的理由から直ちに釈放するよう求めた。また、カナダは今後も世界各地の独立系メディアを支持し続けると強調した。
保護記者委員会のジョディ・ギンズバーグ事務局長は、香港の法の支配は完全に損なわれたと述べ、今回の判決を強く批判した。
木原官房長官は9日の記者会見で「香港が享受してきた民主的・安定的な発展の基礎となる言論の自由や結社、集会の自由にもたらす影響などについて重大な懸念を持っている」と述べた。
また、「今回の件を含め一国二制度への信頼を損なわせる事態が続いている」と指摘した。
ルビオ国務長官は黎氏の判決について「不公正で、極めて痛ましいものだ」と述べた。
また、この判決は、香港の基本的自由を擁護する人々を沈黙させるため、中共が極端な手段を取る用意があることを世界に示すものだと指摘した。その上で、中共は1984年の英中共同声明で行った国際的な約束を公然と放棄していると批判した。
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