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メタの対中協力が国家安全保障に脅威 元幹部が証言=米上院司法委員会

2025/04/11
更新: 2025/04/12

米上院司法委員会の犯罪・テロ対策小委員会は9日、米IT大手Metaと外国政府との関係を巡る公聴会を開催した。元Meta幹部で内部告発者のサラ・ウィン=ウィリアムズ氏が出席し、同社が中国市場への進出を目指す過程で、アメリカの国家安全保障を損なうおそれのある行為に関与していたと証言した。

ウィン=ウィリアムズ氏は、2011年から2017年までMeta社のグローバル公共政策ディレクターを務めていた。証言によれば、同社は2015年の時点で中国共産党(中共)に対し、人工知能(AI)を含む新興技術に関する情報を提供していたという。目的は「中国企業が米企業を凌駕できるよう支援すること」だったと述べた。

同氏はまた、Metaが中国で180億ドル(約2.7兆円)規模の事業展開を進めるため、中共に配慮した取り組みを秘密裏に行っていたと主張した。

著書で内幕明かす ベストセラーに

3月に出版されたウィン=ウィリアムズ氏の著書『Careless People: A Cautionary Tale of Power, Greed and Lost Idealism』(邦題仮:『粗忽な人々 ― 権力、貪欲、失われた理想主義の警鐘』)には、Meta社在職中に目にした社内の実態が記されている。同書は出版直後にベストセラーとなり、Amazonのランキングでもトップ10に入った。

中共と検閲ツールを共同開発 裏で進む協力関係

公聴会を主導したジョシュ・ホーリー上院議員(共和)は、「なぜFacebookはこの証人の証言を妨げようとしたのか。ザッカーバーグ氏は“言論の自由の擁護者”を名乗る一方で、中国共産党と長年にわたって密接な関係を築いてきた」と批判した。

ウィン=ウィリアムズ氏によれば、Metaは中共と協力し、カスタマイズされた検閲ツールの開発・テストを行い、政権に批判的な声を抑圧するために利用しようとしていたという。

また同氏は、Metaが米中間に物理的な通信経路を構築し、中国側が米国ユーザーの個人データに非公式にアクセスできるようにする計画も進めていたと証言した。この計画は最終的に実現しなかったが、それは「議会の介入があったからにすぎない」と語った。

Metaは反論 SEC報告書との矛盾も

Metaは声明を出し、ウィン=ウィリアムズ氏の証言について「事実に反する」と否定。創業者マーク・ザッカーバーグ氏もこれまで、「中国での事業展開には関心があるが、現在サービスは提供していない」との見解を示してきた。

しかしウィン=ウィリアムズ氏は、「その主張も事実に反する」と反論。実際には2014年から中国で製品・サービスの提供を始めており、現在も継続していると主張した。Metaが米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書には、中国が同社にとって「第2の市場」であるとの記載があるという。

さらに同氏は、Metaが開発したAIモデル「LLaMA」が、DeepSeekなど中国のAI企業による技術開発を間接的に支援していると指摘した。

議会証言の虚偽疑惑も浮上

ホーリー議員は公聴会後、ザッカーバーグ氏が過去の議会証言において虚偽の説明を行った可能性があるとして、ウィン=ウィリアムズ氏から提供された内部資料を精査する方針を示した。必要に応じて、司法省への資料送付も検討するとしている。

今回の公聴会は、連邦取引委員会(FTC)がMetaに対して起こした反トラスト訴訟の審理開始(4月14日予定)を前に実施された。同訴訟では、InstagramやWhatsAppといった主要アプリの分離命令が出される可能性もあり、Metaにとっては重大な局面を迎えている。

趙鳳華