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ラトニック長官「スマホも関税対象」発言 トランプ大統領と解釈の食い違いか

2025/04/14
更新: 2025/04/14

ラトニック米商務長官は4月13日、スマホやパソコンなどの一部電子機器が、1〜2か月以内に発表予定の半導体関税に含まれる見通しだと表明した。

ラトニック長官は同日、ABCの「This Week」に出演し、トランプ大統領が4月11日に発表した一連の関税措置について説明した。

トランプ氏は、複数の貿易相手国に対する相互関税の対象から、一部の電子製品を除外するとしていた。

トランプ氏は自身のSNSに「他国、特に中国による不公正な貿易収支や非関税障壁に対して、免除される国など存在しない」と投稿。「特に中国は、圧倒的に最悪の扱いをしている国だ」と述べ、中国への強硬姿勢を強調している。

さらに、「11日に関税の例外が発表された事実はない。この製品群は既存の20%フェンタニル関税の対象であり、単に別の関税区分に移されたに過ぎない」と述べ、一部メディアの報道を打ち消した。

税関・国境警備局が11日に公表した通知によれば、除外対象にはスマホ、コンピューター、サーバー、ノートパソコン、タブレット、マザーボード、プロセッサー、メモリーモジュール、半導体製造装置、集積回路、液晶ディスプレイなどが含まれる。

ラトニック長官は、「4月11日の大統領の発表は、これら製品を相互関税から除外するものであり、半導体関税から除外するという意味ではない」と述べ、「半導体関税は1〜2か月以内に導入される見込みだ」と語った。

同日、NBCの「Meet the Press」に出演したナバロ大統領上級顧問(貿易・製造担当)は、半導体関税が1962年通商拡大法第232条に基づく調査結果をもとに決定されると説明した。同法は、国家安全保障を脅かすと判断された輸入品に対し、大統領が制限措置を講じる権限を認めている。 

トランプ政権は過去2か月間に銅や木材に関して232条調査を実施しており、1期目の政権下でも同法を根拠にアルミニウムと鉄鋼への関税を引き上げた。

トランプ大統領が2日、すべての貿易相手国に対し一律10%の関税を課す方針を発表したことで、世界およびアメリカ国内の株式市場は大きく動揺した。トランプ氏はその後、複数国との貿易交渉を理由に、ほぼすべての関税を90日間凍結すると発表し、中国からの輸入品に対しては関税率を145%に引き上げた。

トランプ大統領の「関税は交渉手段であり、対中圧力の武器である」という立場と、ラトニック長官の「関税は国内産業保護と再構築のための長期戦略」という立場の違いが示されることとなった。

トランプ大統領の2日の発表直後にS&P500は下落したものの、9日に発表された90日間の凍結措置により、同日に9.5%上昇し、2008年10月以来最大の上昇幅を記録した。ただし、同指数は依然として2月の高値から11.2%下落した水準にある。

ラトニック長官は、半導体関連の技術製品が11日に関税免除の対象から外されたのは、それらが「交渉の対象外」であるためだと強調している。

「したがって、これは恒久的な免除ではない。(トランプ氏は)これらの製品は各国が交渉によって譲歩させられる類のものではない、という点を明確にしているだけだ」

同長官は半導体や医薬品に対する関税は、これらの製造を米国内に戻すために不可欠であると主張した。

「我々には薬が必要であり、半導体や電子機器も国内で製造されなければならない。我々が必要とする根本的なものを外国に依存することはできない。中国に頼るわけにはいかない」と語った。

バイデン前政権も、中国製半導体に対する関税を一部導入しており、経済と安全保障の観点から、国内投資と雇用創出を促す政策をとっていた。2024年5月に商務省が公表した資料では、バイデン政権が「CHIPSおよび科学法(the CHIPS and Science Act)」(2022年)により約530億ドルを投入し、半導体サプライチェーンの国内回帰を目指していたことが記されている。

ラトニック長官も同様の懸念を表明した。「我々には半導体が必要であり、チップもフラットパネルも必要だ。こうした基盤技術をすべて東南アジアに依存するわけにはいかない。現在、ほとんどすべての半導体は台湾で製造され、仕上げは中国で行われている」と指摘した。

番組司会のカール氏が「アップルが明日にでもアメリカ内にiPhone工場を建設するとは思えない」と述べ、関税の影響で物価が上昇する可能性を指摘すると、ラトニック長官は「必ずしもそうとは限らない。国内での製造は可能だ」と応じた。

さらに、パナソニックがカンザス州に新工場を建設した例を挙げ、「地元のコミュニティ・カレッジや地域と連携し、4千人の高度技術職を創出した。これこそがアメリカに戻ってくるべき産業の姿だ。こうしたハイテク工場が、合理的な価格での生産を可能にする」と語った。

その後、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員も出演し、関税に関する大統領権限を議会が制限できるようにする法改正の必要性を訴えた。

「民主党は全員、大統領が現在行使している権限に歯止めをかける準備ができている。問題は、共和党がこれに賛同するかどうかだ」と述べ、「約15日後に議会で採決が行われる予定だ」と明かした。

エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。