「中国による台湾の『武統(武力による統一)』を扇動する中国人インフルエンサーたちが、相次いで処罰を受けていることがわかった。
最近、「武統」の宣伝を繰り返してきた「陸配(台湾の中国大陸出身の配偶者)」と呼ばれる中国人インフルエンサー・亞亞(本名:劉振亞)さんは、台湾当局から居留許可を取り消されたことが報じられた。
亞亞さんと同じような「活動」を台湾でしてきた中国人インフルエンサーたちも、相次いで台湾の移民署から呼び出されていると、台湾メディアが報じた。
たとえば、「自分も処罰を受けた」と自身のSNSを通じて涙ながらに訴えた「恩綺」さんによれば、「自分たちのほかにも、140人以上の陸配が同様の状況にある」と明かしている。
台湾当局による処罰が広がっていることは、他の「愛(中)国系」の陸配インフルエンサーの輪の中で共有されており、「お互いにおとなしくしていようね」といった呼び掛けが行われている。
「台湾で中国国旗を振りかざすシーン」や「武力統一を扇動する動画」、「台湾地図が描かれたケーキを食べる動画」など、問題視されそうな過去配信のコンテンツまでも処罰を恐れたインフルエンサーらによって削除されている。

「言論の自由の範疇を超えた、準戦争行為」
インターネット上で、大きな影響力を持つ「インフルエンサー」や動画配信者が、中国共産党の統一戦線工作の標的になっていることは周知の事実。
中共側は親中、反米を話題にするインフルエンサーに対して「再生回数の操作」や「投げ銭」などを通じて巧妙に利用し、党のイメージアップや両岸関係に対する国民の認識を変えようとしている。
なお、「投げ銭」は動画を見る視聴者がプラットフォームを通じて配信者に金銭を支払う仕組みで、配信者にとって収益源の一つとなる。
こうして、直接中共と関わりはないものの、利益で誘導されて中共のプロバガンダに手を貸す台湾人インフルエンサーたちもいると言う。
しかし、言論の自由を盾に、中共の息がかかったコンテンツが拡散されることは、台湾にとっては計り知れない打撃をもたらすことになる。
そのため、特に若者の間で大きな影響力を持つインフルエンサーに対する中共の浸透工作に、台湾当局も警戒しているという事だ
こうした中国人インフルエンサーによる度を越したプロパガンダや扇動について、台湾当局はこれを「言論の自由の範疇を超えた、準戦争行為」とみなしている。
台湾の頼清徳総統は3月13日、「中国は、メディアや政党、現役や退役軍人までをも取り込み、われわれの内部で分裂、破壊、転覆活動を行っている」として、中国を「境外敵対勢力」とする認識を示した。
一方で、中国国内では、この問題に関する報道は封鎖されており、情報の非対称性が際立つ。中国政府による情報操作と台湾の防衛措置が続く中、SNSによる情報は、今後も政治的な火種となりそうだ。
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