米政府関係者によると、トランプ政権はウクライナへの新規武器売却を停止し、さらに米軍備庫からの武器供与を凍結することを検討している。これにより、ウクライナの対ロシア防衛能力が大きく損なわれる可能性がある。
トランプ大統領は就任直後、イスラエルとエジプトを例外とするすべての対外援助を停止するよう命じていた。
ウクライナへの軍事支援が事実上停止
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ルビオ国務長官は以前、ウクライナをトランプ政権の対外援助禁止措置の対象外とする免除措置に署名していた。しかし、米国際開発庁(USAID)のピーター・マロコ副長官代理が、ウクライナ支援に必要な書簡を国防総省に送付していないため、国務省が管理する米国の対外軍事融資(FMF)を通じた新たな武器取引が事実上停止した。
ウクライナは、米国から以下の3つの主要な経路で武器を調達している。
- FMF:米政府が提供する対外軍事融資(FMF)の貸付や補助金を通じた武器購入
- 国防総省の「ウクライナ安全保障支援イニシアチブ」(現在、資金枯渇)
- 大統領調達権限によって、国防総省の備蓄からの直接供与(これまで最も重要な供給ルート)
FMFを通じた新規武器供与の停止は、トランプ氏とゼレンスキー大統領が2月28日に激しい対立を起こす以前に始まっていた。一方、米軍備庫からの武器供与凍結の検討は、この会談決裂後に始まったという。
米政府、追加支援の是非を検討
複数の議会関係者や政府関係者が明らかにしたところでは、ホワイトハウスは3日に会議を開き、大統領調達権限を使ったウクライナへの武器供与を、一時停止するかどうかを協議した。国務省はこの件に関するコメントを控えている。
政府関係者は、「新たな米国の軍事支援がなければ、ウクライナ軍の戦闘能力が、現在の消耗ペースで、最長でも今年半ばまでしか持たない」と警告する。
ウクライナ軍の戦力に深刻な影響
米国が武器供給を停止すれば、最新の防空システム、地対地弾道ミサイル、誘導システム、長距離ロケット砲など、ウクライナにとって不可欠な装備が入手できなくなる。
特に、米国は陸軍戦術ミサイルシステムATACMSや高機動ロケット砲システムHIMARSの唯一の生産国であり、これらの兵器は、ウクライナがロシアの後方拠点を攻撃するための重要な戦力となっている。
欧州、停戦合意を模索
こうした状況の中、先週末に、英ロンドンで主要欧州諸国の首脳が会合を開き、ウクライナ停戦に向けた合意策を検討した。会議は英国が主催し、最終的にトランプ政権に協議を持ちかけるための共同案をまとめることで一致した。
スターマー英首相は、「欧州の安全保障には、米国との緊密な協力が不可欠だ」と強調。「欧州はさらなる責任を果たすべきだが、依然として米国の支援が必要だ」と述べた。
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