2025年1月、後継者不在に起因する「後継者難」倒産が1月としては過去最多を記録した。東京商工リサーチの調査によると、負債1千万円以上の倒産件数は45件に達し、前年同月比60.7%増となった。
注目すべき点は、代表者の「死亡」による倒産が24件(前年同月比100.0%増)と倍増し、全体の53.3%を占めたことである。これは代表者の高齢化が進む中、健康と後継者育成が経営上の重要リスクとなっていることを示している。
この傾向は2024年全体でも見られた。2024年(1-12月)の「後継者難」倒産は463件(前年比7.6%増)を記録し、調査開始の2013年以降で最多となった。これにより、中小企業の後継者不在問題の深刻さが改めて明らかになった。
この問題に対応するため、様々な支援策が実施されている。銀行の投資子会社による出資、M&A、サーチファンドなどの民間の取り組みに加え、全国に「事業承継・引継ぎ支援センター」が設置されるなど、公的支援も強化されている。
しかし、課題は依然として存在する。業績回復が鈍い企業では、代表者が前面に出やすく、後継者育成や事業承継の準備が遅れがちになる傾向がある。事業承継には一定の期間が必要であり、高齢の代表者の健康上の問題も無視できない。「円滑な廃業」も選択肢として提示されているが、判断が遅れると倒産の可能性が高まる。
後継者難問題は日本の中小企業にとって重要な課題だ。
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