牛丼チェーン大手の「すき家」が、商品の中にネズミや虫が混入していたのが見つかり、全国に展開する約2千店舗を今週、一時的に閉店する事態となった。害虫や害獣が飲食物に混入するケースは近年たびたび発生している。
2023年には、「丸亀製麺」の「丸亀シェイクうどん」に生きたカエルが撮影された動画がSNSに投稿され、2014年12月には、カップ焼きそば「ペヤング」を購入した客が麺の内部に虫の死骸とみられるものが入った写真をSNSに投稿し、話題となった。
では、なぜ害虫・害獣などが混入する事態が発生し得るのか。
飲食店の環境条件は害虫・害獣にとって魅力的
飲食店は、特に食材が豊富で温暖な環境が整っているため、害虫や小動物にとって非常に魅力的な場所となる。まず、最大の魅力は豊富な食糧源である。
食べ物を保管している場所やゴミ箱には、ネズミやゴキブリが簡単にアクセスでき、エサを得やすい。特に厨房やゴミ捨て場には、落ちた野菜くず・油分・残飯が蓄積しやすく、これらは小動物にとって貴重な栄養源である。
極めて敏感な嗅覚を持つゴキブリやネズミは、数十メートル離れていても食べ物の匂いを察知することができるため、残飯などから放たれた匂いは強力な誘因となる。
また、室内気候も害虫らを引き寄せる主因だ。ゴキブリやネズミは20〜30℃前後の温度を好み、特にゴキブリの活動は25℃以上で活発化する。ネズミは恒温動物(外界の温度変化に関係なく、体温を一定に保つ)だが、体が小さいため、寒さに弱い傾向がある。
飲食店の厨房は調理機器(ガスコンロ、オーブン、フライヤーなど)が稼働しており、通年で30度前後の暖かさが維持されやすい。そのうえ、厨房の熱源や排気ダクトなどがあり、外気に比べて温度が安定している。こうした環境は、害虫・害獣にとって快適な住処となる。
温度のみならず、湿度も重要で、ゴキブリは水が数日間ないだけで死ぬため、常に湿った環境を求め、ネズミもまた湿った場所に住み着く傾向がある。厨房やトイレ、製氷機、シンク周辺、排水溝などには水分が常に存在する。そのような空間は、彼らにとって理想的な環境である。
冷蔵庫や配管の結露、配管の水漏れなども、水分供給源となる。微細な湿気でさえも、害虫にとっては「生き延びるための生命線」である。
飲食店は、害虫や害獣に必要な「食・匂・熱・湿」という要素を合わせ持つ環境となっているのだ。
このため、従業員が目視を怠ると、こうした害虫らが飲食物に入りこむ可能性もある。
「妨害工作として意図的に混入」という大胆な仮説も
「異物混入」や「害虫・動物の侵入」について、自然要因ではなく、意図的に行われているという見方がSNSなどで散見される。
社会的・政治的なイベントの直前や、大手企業のキャンペーン・新商品発売時に限って異物混入事件が起きると、「狙われたのでは?」という憶測が広がりやすい。
「競合他社などがの妨害工作」として、競合する飲食店や企業が意図的に異物(ネズミやゴキブリなど)を店舗に持ち込み、評判を落とすために混入させるという大胆な仮説だ。
この場合、店舗の衛生状態を問題視させ、悪評を広めることで顧客を奪うことを目的としている。
異物が混入した画像や投稿が拡散されれば、数時間で企業の信用が揺らぎ、株価が急落する事態となり、企業にとっては大打撃だ。
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