中国共産党政権は最近、一帯一路インフラ構想を活性化させようと努力しているが、インド太平洋、アフリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ全域に「広範な利益を共有する共同体」を構築するためと称して2013年に開始された同政策が、中共政権の目標や表明した意図を達成できていないことを示す証拠が次々に明らかになっている。
中共政権は、発電所、港湾、空港、通信網、その他のインフラを建設するため、主に途上国に約150兆円(1兆ドル)近い資金を融資してきたが、このプロジェクトに対する広範囲な支持は薄れつつある。 一帯一路構想が国際的に、開発援助の親善的な申し出というよりも、中国の政治的・軍事的影響力を拡大するための伝達手段であると見なされ始めたからだ。
中共政権の看板政策である対外政策が20年目に突入した今、中国経済はもはや好況とは言えず、習主席の「ゼロコロナ」政策によるショック、住宅市場と個人消費の低迷、国際政治情勢における中国共産党の姿勢に苦しんでいる。
2023年10月中旬、一帯一路構想の将来について話し合う「一帯一路フォーラム」が中国で開催され、代表団が一堂に会したとき、中共政権の「広範な共同体」というビジョンが、インフラ整備よりも民主主義に代わる選択肢の構築を目指していることが明らかになった。 ウクライナと中東で起こっている紛争が、米国とその同盟国・提携国から国々を遠ざけようとしている動機となっている。
大西洋評議会のグローバル・チャイナ・ハブでノンレジデント・シニアフェローを務めるガブリエル・アルバラード氏は、2023年10月に同シンクタンクに寄稿し、「単刀直入に言えば、新たな危機は、世界の現状を西側のせいにし、グローバル・ガバナンスの代替ビジョン、要するに中国共産党の統治方法に近い、あるいは少なくともそれを受け入れるようなシステムを推進する機会を中国に与える」と述べている。
フォーラムはまた、
- 中共政権は一路一帯構想を放棄するつもりはないが、これまでよりも狭い範囲で将来のプロジェクトに取り組まなければならないという課題を抱えていることも浮き彫りにした。 ロイターは「このような(経済的な)逆風に直面し、習主席は一帯一路構想をより小規模で環境に優しいものにし、ダムのような大型プロジェクトからデジタル金融や電子商取引プラットフォームのようなハイテクプロジェクトに移行するよう推進している」とし、 「その目的は、米国とその同盟国が支配する世界秩序ではなく、…… 多極化する世界秩序をより広範に後押しすることにある、とアナリストは指摘する」と報じている。
- 中国の大盤振る舞いに対して、国際的に懐疑的な見方が強まっている。 批評家たちは長い間、中国共産党による資産の支配、港湾や貿易などの分野における受け入れ国の主権の侵害、インフラ事業所における中国共産党軍の存在や侵入につながりかねない持続不可能な融資の返済に、各国が苦慮していると主張してきた。 スリランカやザンビアを含む国々は、中国共産党の強引な融資で債務不履行に陥った。 専門家らは、中国共産党がサプライチェーンの途絶を懸念しているが、これは同国が海上貿易の多くを狭いマラッカ海峡に依存していることから「マラッカのジレンマ」として知られており、中国共産党がそうした場所を支配することで、その懸念が緩和されると指摘している。
- 「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」誌によれば、2019年の37人に対し、第3回フォーラムに出席した国家指導者はわずか23人だった。 出席者の顔ぶれは、世界の分裂を反映していた。 ロシアのプーチン大統領は習主席の主賓として出席し、欧州連合からはハンガリーのオルバーン・ヴィクトル(Viktor Orban)首相が唯一出席した。 アフガニスタンが一帯一路構想への参加を目指す中、タリバン関係者も中国を訪れていた。
では、10年後の一帯一路構想はどうなっているのか。 中国経済の低迷と、中共政権が国際規範に従わないロシアや他の政権と政治的な同盟関係を結んでいることが、この計画を妨げていることはますます明白になっている。 中共政権の覇権確立への意欲は、彼の真の動機として認識されつつある。
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