地球温暖化の原因 実は自然な要因によって起こる「都市問題」だった=新研究

2023/11/01
更新: 2023/11/20

気候変動に関する新しい研究によって、国連の気候変動報告書は自然由来の可能性を示す事実を無視しており、国連の「温暖化は人為的な要因によるもの」という論旨には問題があることが明らかになった。

科学雑誌『Climate』に、18か国37人の研究者による研究結果が掲載された。それによると、過去200年間で地球はわずかな気温上昇があり、その原因の特定には2つの主要な領域が関係しているというのである。

1つ目は国連の報告書の根拠になっている都市部の気温に、ヒートアイランド効果というバイアスが掛かっている。2つ目は、国連の報告書が、19世紀以降の地球温暖化に対する太陽の役割を過小評価していた可能性が高いという点だ。

都市の気温バイアス

環境研究・地球科学センター(CERES)に所属する科学者のウィリー・スーン氏とローナン・コノリー氏が率いるこの研究では、農村部と都市部の気温をミックスしたデータセットと農村部のみのデータセットの2種類を使用した。

CERESによると、都市部の面積は地球の陸地表面のわずか4%に過ぎないとしている。そのことからも、地球温暖化の推定は、都市部のヒートアイランド効果によって歪められている恐れがある。

具体的にいうと、農村と都市部の気温をミックスした新しい研究では、1850年以降の1世紀の間に0.89℃の気温上昇を示したが、これは国連の推定と一致していた。

一方、農村部のみのデータセットでは、気温上昇が0.55℃だった。このことからも都市で観察されたヒートアイランド現象が、国連の報告書の中で、地球温暖化の原因として組み込まれた可能性がある。​

太陽活動

国連の気候報告書で2番目の問題とされる領域は、地球の温度に影響を与える可能性があると考えられている太陽活動の推定である。

Climateの研究では、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書と同様、気候要因として太陽活動、火山活動、人為的活動の3つが考慮されている。

IPCCは、太陽活動の推定として1つのデータセットのみを考慮したが、新しい研究では、それに代わって、2つの全太陽放射照度(TSI)データセットを検討した。

国連気候報告書の問題点

スーン氏とコノリー氏は、新しい研究の中で、1850~2018年までに北半球で起きた温暖化の原因を特定しようとした。

その結果、地球温暖化の40%は、都市の温暖化に相当することがわかった。これとは対照的に、国連の報告書では、都市の温暖化は地球温暖化の10%未満に相当すると述べている。

この研究では、「地球温暖化のより広範な検出と帰属の問題に、重要な課題が残っていることを明らかにした」と述べられている。

(1)世界の陸地温度データにとって、都市化バイアスは依然として大きな問題である 

(2)TSI時系列の多くの文献データが、過去のTSIを正確に推定しているのか不明である 

(3)1850年以降の温暖化が、人為的なものか自然由来なのか、それとも何らかの組み合わせなのかを、科学界は自信を持って断言できない。

一方で、国連の最近の気候評価報告書では「現代の気候変動は、圧倒的に人間の影響による」と主張している。

バイアスの原因

コノリー氏が実施した2021年の調査によると、このアプローチには2つの大きな問題があった。

「1.都市部は世界の陸地面積のごく一部しか代表していないが、IPCCによる地球温度推定の土地部分には、多くの都市部で設置されている気象観測所が含まれている。その結果、都市化バイアス、すなわち気象観測所周辺の都市ヒートアイランドが拡大すれば、温暖化バイアスが生じ、データが歪められる可能性が懸念される」

「2. 過去の太陽活動を推定するために、第6期結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP6)事務局はTSIデータセットを推奨している。このデータセットは、IPCC第5次評価報告書(AR5)のCMIP5モデリンググループが検討した4つのデータセットと同様、太陽変動を低く推定しており、高いデータセットよりも太陽の役割がはるかに小さくなる」

コノリー氏は「長期的な地球温暖化のほとんどが人為的なものだという彼らの結論は、時期尚早でありいわれのない自信に動かされたものだ。上記2つの問題は、地球温暖化の原因に関する最終的な結論を大幅に偏らせる可能性がある」と語っている。

国連気候モデルに対する他の批評家

ノーベル賞受賞者のジョン・クラウザー氏は「地球の温度に影響を与える複雑な要素として雲の被覆率と変動があるが、現在の主要な気候モデルでは対処できない」とエポックタイムズに語っている。

クラウザー氏は、最近クリンテル財団が1600人の科学者や専門家とともに策定した気候宣言「気候緊急事態はない」に署名したが、ノーベル賞受賞者としては2人目の署名者になった。

Climateの研究は、最近科学ジャーナル誌『Research in Astronomy and Astrophysics』が掲載した研究と同様の結果を発表している。著者の一部は同じだったが、この2番目の研究では、太陽活動について25の推定値と3つの温度推定値を追加していた。

(翻訳・大室誠)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
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