世界経済に大打撃も…人民解放軍による台湾海峡の侵略行為

2022/12/31
更新: 2022/12/31

中国共産党人民解放軍は12月中旬、核搭載爆撃機18機を台湾海峡上空に飛ばし、中国が自国と主張する民主的統治下の台湾島にまたもや圧力をかけようとした。 

人民解放軍は8月に台湾を包囲する実弾演習を開始して以来、かつて台湾と中国の非公式な国境と考えられていた中間線を日常的に越えている。 

この攻撃を封鎖や攻撃のリハーサルと見る向きもあり、世界で最も重要な航路の一つである海路の緊張を高めている。

ブルームバーグによると、2022年に世界のコンテナ船の半分近くが台湾海峡を通過し、そのうちトン数で最大の船のほぼ9割が台湾海峡を通過しているという。 この幅180kmの海路は、重要な半導体や原油、消費財などの貨物を、東アジアの製造拠点から欧米やその他の市場へと運ぶための主要なルートとなっている。

台湾の東側からフィリピン海のルソン海峡を通るルートもあるが、 台風シーズンになると、そのコースは船舶にとって危険なものとなる。 フィリピン周辺ほど熱帯低気圧が多く発生する地域はない。

中国が台湾海峡をめぐり不安を煽る要素となっているのは、積極的な軍事行動だけでなく、根拠のない領有権の主張もある。 

中国外務省は2022年6月、台湾海峡は国際水域ではなく、「中国の内海、領海、連続帯、排他的経済水域の順で存在する」と宣言している。中国が加盟している国際連合海洋法条約では、海峡にはいかなる国の領土も超えた国際水域と領空があり、航行と飛行の自由が保障されている。

現状に対する中国の脅威は、新型コロナウィルスによる混乱によって世界的に記録的なインフレに拍車がかかっている世界のサプライチェーンに大打撃を与える危険性がある。 ブレーマー・シッピング・サービシーズのアナリスト、アヌープ・シン(Anoop Singh)氏が8月に「ザ・ファイナンシャル・タイムズ」紙に語ったところによると、毎日100万バレルの原油と関連製品が台湾海峡を通過しているという。

台湾は、スマートフォンから洗濯機、自動車、医療機器に至るまで、製品に不可欠な世界の半導体のほとんどを生産しており、専門家によると、台湾のチップ産業が長期にわたって中断された場合、世界中のメーカーは代替サプライヤーを見つけるのに苦労することになるという。 

キャピタル・エコノミクスのシニア・アジア・エコノミストのガレス・レザー氏は、「多くの企業が生産を停止せざるを得ないだろう」とした上で、 「アジアの一部のエレクトロニクス産業やヨーロッパの一部の自動車産業の規模を考えると、これらの経済は特に脆弱だ」と記している。

中国と台湾間の緊張が高まれば、世界中でさまざまな商品やデジタルサービスの価格が上昇する可能性もある。 「台湾をめぐる状況が大きくエスカレートすれば、さらなる供給ショックとなり、インフレの一層の長期化を招くだろう」とレザー氏は2022年8月に書いている。 また、中国が台湾を攻撃した場合、より悲惨な結果になると指摘するアナリストもいる。 

トライオリエント・インベストメンツのダン・ニーステッド副社長は、ファイナンシャル・タイムズ紙に対し、「有事における被害によって台湾が一定期間閉鎖された場合、ハイテク産業のグローバルサプライチェーンがどう生き残れるか分からない」と述べた。

Indo-Pacific Defence Forum