北大西洋条約機構(NATO)は19日、ブリュッセルの本部で加盟国の参謀長が集う軍事委員会を開催し、集団防衛について議論した。この会議には山崎幸二統合幕僚長が参加した。日本の自衛隊制服組トップの出席は初めて。このほかインド太平洋からはオーストラリア、韓国、ニュージーランド、欧州では最近加盟申請したスウェーデンとフィンランド、そしてウクライナからもオンライン形式で軍事トップが出席している。
軍事委員会委員長のロブ・バウアー委員長は「NATOは一世代で最大の集団防衛の強化を実施してきた」とし、プーチン露大統領によるウクライナ戦争はNATOの軍事戦略の開発を進めたと述べた。また、「集団防衛は危機管理とは大きく異なる。私たちは常に予期せぬ事態に準備ができていなければならない」と集団防衛と結束の必要性について強調した。
NATOのストルテンベルグ事務総長が昨今の地政学的状況について資料をもとに説明し、劇的に変化する安全保障環境とNATOの対処について議論を重ねたという。詳細は公表されていない。
インド太平洋地域をテーマにした会議の席では、オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国の参謀長が会議で発言し、現在進行中の安全保障環境の変化や地域情勢の分析を示した。NATO広報によれば、軍事委員会はこの地域の動きが世界情勢にどう影響するのかについて意見交換したという。
山崎統幕長は同日、ランドラムNATO軍事副委員長と会談し、ウクライナを含む情勢認識等について意見交換した。力による一方的な現状変更の試みが断じて許されない、国際社会共通の課題であることを確認した。また、法に基づく国際秩序の維持のため、自衛隊とNATO軍が人的交流や部隊間交流、サイバー分野等での協力を促進することで一致した。
2国間ではギュレル・トルコ軍参謀総長、ラダキン英国防参謀総長、エア・カナダ軍参謀総長と会談した。日英会談では、クイーン・エリザベス英空母打撃群の日本来訪時の日英共同訓練等をはじめ日英防衛協力・交流を引き続き推進するとした。
NATOは18日、フィンランドとスウェーデンの加盟申請を受け取った。ストルテンベルグ氏は「NATOはすでにバルト海で警戒を続けており、必要に応じて適応し続ける」「すべての同盟国はNATO拡大の重要性に同意している」と記者会見で述べた。
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