中谷元防衛相は25日、記者会見を開き、アメリカのピート・ヘグセス国防長官が3月30日に防衛省を訪れ、日米防衛相会談を行う予定であることを発表した。ヘグセス長官は就任直後の1月末に中谷氏と電話会談を行っており、今回が初の対面会談となる。ヘグセス氏のインド太平洋地域訪問は就任後初めてであり、日本がその訪問先の一つに選ばれたことについて、中谷氏は「日本の防衛と『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて非常に意義深い」と述べた。
中谷氏は記者会見で、今回の会談では主に以下の3点について議論する予定であると説明した。第一に、中国や北朝鮮を巡る地域情勢について認識を共有すること。第二に、自衛隊と米軍それぞれの指揮統制枠組みの向上について議論すること。これには24日に発足した自衛隊統合作戦司令部と米軍のカウンターパート関係を含む連携強化が含まれる。第三に、日本の南西諸島における両国のプレゼンス向上やより実践的な訓練・演習を通じた即応性強化など、日米同盟の抑止力・対処力をさらに強化するための具体的な取り組みについて議論することである。
また、会談ではアメリカ側から日本の防衛費や在日米軍駐留経費(いわゆる「思いやり予算」)について言及される可能性もある。これに関して中谷氏は、「日本の防衛費増額は国民の命と平和な暮らしを守り抜くため必要な内容を積み上げた結果であり、金額や割合ありきではない」と強調した。同盟強靱化予算についても、「日米両政府間で適切に分担されている」と述べ、慎重な姿勢を示した。
さらに、中谷氏はヘグセス長官が硫黄島(東京都小笠原村)を訪問し、日米合同慰霊式に参加する予定であることを明らかにした。硫黄島は太平洋戦争末期に激戦地となり、多くの日米兵士が命を落とした場所である。中谷氏自身も式典への参加を調整中だが、実現すれば日米両国防相が硫黄島で対面する初めての機会となる。この訪問について中谷氏は「戦後80年という節目に非常に象徴的な機会になる」と語り、歴史的和解と友好関係の象徴として意義深いものになるとの認識を示した。
今回の日米防衛相会談および硫黄島慰霊式への参加は、地域安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の重要性を再確認するとともに、両国間の絆を深める場となるだろう。
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