米トランプ政権は、国内における中国共産党政権主導の活動に強く注意を払っている。司法省は2月1日、中国の国営メディア・中国国際テレビジョンネットワーク(CGTN)を、外国企業のために活動する「外国代理人」として登録した。
司法省の外国代理人登録文書によると、2018年12月1日から2019年1月31日まで、CGTNは、親会社である北京の中国中央テレビ(CCTV)から約800万ドル(約8億8000万円)を受け取った。同時に、CGTN米国支局長・麻静(音訳、Ma Jing)氏も個人で外国代理人に登録された。
CGTNは「政治活動は行っておらず、編集方針には独立性がある」として、米国側の判断を否定している。しかし登録したのは「米国当局に協力するためだ」とした。
米国司法当局は、中国共産党メディアに対して、長らく情報の開示を求めてきたが応じなかったため、登録に踏み切った。これまで中国メディアでは中国日報英字版チャイナ・デイリー、人民日報、新民晩報が登録されている。新華社通信は登録されていない。
米国司法省により外国代理人に登録された外国組織や個人は、定期的にロビー活動や広報、インターネットの発信に至るまで最新情報を提出することが求められる。将来的には、メディアである場合、インタビューなど取材活動を制限される。
ロシア放送協会RTは、外国代理人に登録されたため、米議会の記者登録証が失効した。
2018年、米国上院の超党派議員は、新華社通信とCGTNを外国代理人に登録すべきかどうかを検討するよう司法省に書簡を送った。そのなかの上院議員は、米国民主基金会での報告で「中国とロシアは海外の自由で開放的な民主主義制度を利用して、政治的な浸透を行ってきた」と警鐘を鳴らした。
中国当局は、外交部を通じて、海外報道機関所属の記者やジャーナリストの活動を厳しく制限している。共産党当局に不都合な事案を取り上げた場合、ジャーナリストたちは記者証の更新を許可されなくなり、中国からの退去を余儀なくされている。
いっぽう、中国当局は米国で精力的な宣伝を続けている。新華社通信は2012年、ニューヨーク中心のタイムズスクエアに巨大ディスプレイ広告を打った。英字紙チャイナ・デイリーは、ニューヨーク・タイムズなど主力紙や地方紙に織り込まれており、読者に一見、同紙と錯覚させるような手法をとっている。
(編集・佐渡道世)
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