孔子学院の闇を暴くドキュメンタリー映画 日本で初公開

2017/11/14
更新: 2017/11/14

11月15日、中国教育部(文部省に相当)の管轄する語学学習機関・孔子学院の闇を暴くドキュメンタリー映画が、日本で初めて上映される。カナダの孔子学院で教員だった華人女性の視点を中心に、大学側と中国共産党政府、言論の自由の抑圧に焦点をあてた「偽の儒教(仮邦題)」は、東京オリンピックセンター(渋谷区代々木神園町3-1)会議室401で上映される。時間は13時~14時15分。映画監督であるドリス・リュウ氏が来日し、講演と質疑応答を行う。

中国教育部は孔子学院について、海外の教育機関に併設する文化交流プロジェクトおよび言語学習機関と説明している。中国国務院によると、孔子学院の狙いは「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広める」「中国の夢を宣伝する」としている。しかし、各大学の孔子学院の日本語ページには、この説明はない。

2016年までに139の国・地域に505の孔子学院、1008の孔子課堂(大学以下のレベルに設置された同機関)が設けられた。2020年までに全世界に孔子学院を普及させるとしている。日本には、早稲田大学、立命館大学、桜美林大学、工学院大学、武蔵野大学など20以上の教育機関に設置されている。

映画のなかでインタビューに答えた政治学者で中国問題専門家クレイブ・アンスレイ氏は、「孔子学院で、孔子哲学や儒教を学ぶことはできない。そもそも中国共産党が文化大革命により破壊した価値観なのだ。孔子学院は、共産党イデオロギーを広める政治機関だ」と問題性を指摘した。

文化大革命時、極左思想の横行で寺社や孔子廟の破壊、歴史的遺産が壊され、既存の伝統的価値が中国から取り除かれていった。「今日、中国共産党はその野蛮さの手法をソフトに変容させ『教育』と偽って党の宣伝を広めている。孔子の名のもとに…」と分析する。

「民主主義、人権、台湾、チベットなど、生徒の質問には回答を避けるよう指示」=元教員あかす

 

映画に出演したカナダのマクマスター大学孔子学院の元教員ソニア・ジャン氏の証言によると、教員としての契約時、共産党が「敏感話題」とする台湾、天安門事件、チベット、ウイグル、民主主義、人権、法輪功などの話題は教材に取り上げることはない。生徒がこのタブーを質問しても、回答を避けるよう指示されていたという。

北米や欧州では、共産党政策に基づいた指導要領に異議を呈する学生、保護者達の学院閉鎖に向けた活動がある。

「(中国政府が選定する)教師の基準を大学は受け入れられない」として、ソニア氏の在籍したマクマスター大学の孔子学院は2013年に閉鎖した。そして約24万5000人の生徒を抱えるカナダ最大規模の学区域・トロント地区学区(TDSB)で、孔子学院設置騒動が起きたのは2014年。映画では、当時の孔子学院設置あるいは反対の双方の運動の様子を映し出す。

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現地紙グローブ・アンド・メールによると同年10月末、孔子学院閉鎖か否かを問う投票がTDSB教育委員会の間で行われた。投票までの4日間、大学教員、カナダ政治家、人権活動家、地域華人代表者、保護者らが会合で証言した。

ー私は天安門が好き。日の上る場所。私たちを導く毛沢東主席の肖像が掲げられているー。孔子学院を問題視するカナダ在住の華人生徒の母親が、TDSBの会合で教材の例文を読み上げた。しかしながら「歴史上、毛沢東により何百万人もの中国人が死亡しているのです」と母親は付け加えた。

TDSB教育委員会の投票でメンバー22人のうち20人が孔子学院閉鎖に賛成し、TDSBから孔子学院は撤退した。

米シカゴ大学でも同院との契約を打ち切った。孔子学院の教員は、すべて中国共産党教育部が派遣し、国内の教員の教育指導要領に準じないからだという。欧州でも、フランスのリヨン大学、スウェーデンのストックホルム大学は言論と学術の自由に問題があるとして、孔子学院を閉鎖した。

孔子学院の闇を暴く映画「偽の儒教」映画公式リンクはこちら。(英語)http://inthenameofconfuciusmovie.com/in-the-name-of-confucius-plays-in-tokyo-japan-11152017/

(文・甲斐天海)

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