【大紀元日本5月9日】中国とロシアが、国際人権団体「アムネスティー・インターナショナル」から、スーダンへの武器禁輸に違反していると指摘されているにもかかわらず、「違反などしていない」と否定している。同人権団体の報告書によると、中露から輸出された武器が、政府が支援するジャンジャウィード・アラブ系民兵組織に流れている。
BBCなどによると、現地では白く偽装された軍用機をスーダンが使用している証拠写真も撮られているものの、中共当局は「全くの合法で、限定的なもの」と主張しており、ロシアもこれに倣った形だ。ロシア軍当局によると、モスクワは国連の議決を踏み外すことなく遵守しているのだという。
国連安全保障理事会での2005年3月の議決では、スーダン・ダフール地区のいかなる党派への武器輸出も禁じているが、スーダンの国連特使・アブデル・モハメッド・アブデイ・ハリム氏は、同人権団体の弁証を「事実無根だ」と突っ撥ねた。
現状では、ダフール地区での4年間の紛争で20万人が死亡し、ジャンジャウィード民兵組織は、数万人を虐殺し難民化したとして国際的な非難を浴びている。
同人権団体の報告書では、国連安全保障理事会が2005年3月の議決を強化するよう提言しているが、常任理事国である中露が武器輸出を積極的に展開していることに「強い遺憾の意」を表明している。
報告書ではまた、現地で撮影された証拠写真も掲載されており、ダフール地区のナラヤで今年はじめ、ロシア製のミル24型攻撃ヘリと中国製戦闘機の存在が確認されている。また白く偽装されたロシア製のアントノフ26型輸送機もまた確認されており、爆撃に使用された公算が大きい。
ナヤラ空港で目撃されたロシア製のミル24型攻撃ヘリ(アムネスティ・インターナショナルより)
同人権団体の報告書が、ニューヨーク・タイムズに先月伝えたところによると、スーダンがこれら軍用機を白く塗装しているのは、国連の人道支援機に見せかける「偽装工作」だという。その一方で、スーダン政府は、「これら白い航空機は軍用に使用していない・・・政府関係者を搬送する目的だ」と嘯いている。同人権団体によると、報告書は現地の証人による証言に基づいており、「言い逃れはできない」ものだ。
ナヤラ空港で目撃された中国製戦闘機(アムネスティ・インターナショナルより)
同人権団体の報告書は、国連の所見を裏付けるものであり、スーダンは国連の議決に反して武器をダフール地区に空輸しており、スーダンもまた国連からの非難を省みずに市民を虐殺し続けている。
同報告書によると、中露はスーダンへ密輸された武器が市民への虐殺に使用されていることを認知していながら、2005年の「対スーダン売り上げ」で、中国は2400万ドル、ロシアは2100万ドルと潤っているという。また、同様の武器輸出国として、さらにクウェート、サウジ・アラビア、ベラルーシなども挙がっている。
中国はまた今年初旬、ハルツーム当局との軍事協力に合意したが、これは経済成長という国内事情を考慮しての「石油確保」が狙いだ。
同人権団体は、スーダンの空港など「関所」に配置される国連要員のために、禁輸リストの作成を求めており、国連加盟各国にダフール地区へ武器弾薬を輸出しないよう呼びかけているのだが、スーダンの国連特使は、「武器は国内の安全のためにしかるべき場所に移動しているだけ・・・白い航空機もダフール地区で軍事的に使用されているわけではないし・・」と態々偽証までしている。
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