中国CCTVキャスター、ウクライナ国旗色姿で連帯示すも「あとの祭り」と批判

2022/03/05
更新: 2022/03/05

中国国営テレビCCTV国際放送3月1日のニュース番組に出演した女性キャスターは、ウクライナ国旗の色に合わせて黄色いシャツにブルーの上着を着用した。ロシアから侵攻を受けている同国への連帯を示す演出とみられる。

中国メディアはこれまでロシア支持の論調を展開していたが、ロシア軍の苦戦を伝えられると、方向転換したようだ。これには「あとの祭り」との批判が上がっている。

侵攻を開始した直後の2月25日、CCTVや新華社などの主要官製メディアは、2日足らずで「その正確かつ迅速な攻撃」でキエフ周辺まで進んだとロシア軍を持ち上げ、ウクライナ軍は兵力・装備・補給不足で勝ち目はないという論調が目立っていた。

ソーシャルメディア上でも、プーチン大統領を「英雄」と称賛し、ロシアを批判するコメントは即時、削除された。5人の著名な中国人学者の戦争反対を訴える公開書簡は投稿後、まもなく消された。

中国人ジャーナリスト魯南氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材で、中国官製メディアはロシアメディアの代理人に化したとし、「ロシア勝利のムードを意図的に作ろうとしている」と批判した。

だが、ロシア軍は短期決戦を想定していたとみられるが、ウクライナ軍の粘り強い抵抗で、戦闘は長引いている。侵攻3日目の26日以降、中国官製メディアは、各国メディアの報道を引用したり、ウクライナ政府関係者の発言を報じるなど、軌道修正を図った。

中国著名学者の栄剣氏はツイッターで、「日和見主義で結局、双方に背を向けられる。今さら、ウクライナ国旗の色の服を着てもあとの祭りだ」と当局の外交姿勢を批判した。

RFAの取材を受けた中国人ジャーナリストは、官製メディアやSNS世論の方向性が変わったとしても、この戦争に対する当局の立場が変わったのではないと指摘した。

中国メディアは、ロシア軍によるウクライナ侵攻を「ロシア・ウクライナ間の軍事衝突」と位置付けている。

中国のこうした姿勢を表すSNS投稿もある。「ウクライナに同情するが、ウクライナがNATOに加盟すれば、中国の利益が脅威にさらされる」とロシア侵攻を正当化する書き込みがあった。プーチン政権が崩壊すれば、中国は国際社会で孤立する恐れがあるからだ。

同じ文面は中国SNS微博で複数のアカウントから投稿されており、当局はネット工作員を動員し、世論を誘導しているとみられる。

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(翻訳編集・葉子靜/李沐恩)