習近平の訪米前に ファーウェイ刑事裁判始まる 「首脳会談は和やかでも水面下で駆け引き」専門家

2026/09/10
更新: 2026/09/10

中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐる刑事裁判が8日、米ニューヨーク州ブルックリンの連邦地裁で始まった。米司法当局はファーウェイに対し、組織犯罪や銀行・通信詐欺、企業秘密の窃取、イランへの制裁回避支援など12件の罪を追及している。

約8年にわたる法廷闘争を経て本格的な審理に入ったもので、有罪となれば数十億ドル規模の罰金や関連する不正収益の没収を命じられる可能性がある。

今回の裁判が注目されるのは、単なる企業犯罪や貿易摩擦の問題にとどまらないためだ。ファーウェイをめぐっては、米国が中国による先端技術の獲得や知的財産権侵害に対抗する構図が続いており、今回の裁判も米国の国家安全保障政策の一環として位置付けられている。

裁判は約3か月間にわたる見通し。検察側は11月までに主張を終える予定で、弁護側の審理には約1か月を要するとみられている。

米検察当局が問題視している行為は1999年から2020年までの約20年間に及ぶ。組織犯罪や対イラン制裁違反、銀行・通信詐欺、企業秘密の窃取など、複数の犯罪行為が起訴内容に含まれている。

事件の発端から約8年を経て裁判が始まったことに加え、習近平の訪米を目前に控えた時期に本格審理へ移行したことも注目されている。米中両国が技術、貿易、安全保障をめぐって対立を深めるなか、トランプ政権が中国政府への圧力を維持・強化する姿勢を示した形だ。

時事評論家の李林一氏は、米中首脳会談について「表面上は和やかに見えても、水面下では激しい駆け引きが続いている」と指摘する。

李氏は人工知能(AI)をめぐる対立を例に挙げ、「習近平の訪米を約2週間後に控えたこの時期、米国は中国側のAIモデルについて、米国のAI技術を不正に蒸留し、窃取しているとの疑惑を相次いで指摘した」と述べた。

こうした米国側の指摘は今回が初めてではない。トランプ氏の訪中を前に、米国はすでに同様の問題を指摘していたという。

一方、中国当局は上海協力機構(SCO)首脳会議で、中国主導によるAIセンターの構築を目指している。李氏は「AIを含む先端技術の分野でも、米中双方が主導権をめぐって競い合っている」と分析する。

ただ、専門家の間では、裁判が始まったばかりの現段階で米中関係に与える直接的な影響は限定的との見方もある。今後の焦点は、最終的にどのような判決が下されるかだ。

台湾の国防安全研究院研究員、沈明室氏は、「9月20日の時点で大きな影響が出なければ、次の焦点は11月の米中間選挙になる。仮に裁判で中国側に対して軽い処分となれば、選挙期間中に対中強硬策を訴える勢力にとって、主要な争点の一つになる可能性がある」と述べた。

さらに、陪審員がメディアや議員らの発言から影響を受ける可能性にも言及し、「逆に有罪となり、厳しい判決が下されれば、そのことが米中関係に影響を及ぼす可能性もある」と指摘した。

もっとも沈氏は、トランプ政権にとって裁判の最終的な判決以上に重要なのは、ファーウェイを通じた中国当局による米国技術の獲得を阻止することだとみる。

沈明室氏は、「トランプ政権にとって、ファーウェイを抑え込み、中国当局がファーウェイを通じて米国の技術を窃取することを制限できれば、それだけで目的は達成されたことになる」との見方を示した。

ファーウェイが有罪となった場合、数十億ドル規模の罰金に加え、関連する不正収益を没収される可能性がある。

すでに陪審員の選定も終わり、裁判は本格的な審理の段階に入っている。専門家は、ファーウェイをめぐる問題がもはや一企業の法令違反や米中間の貿易摩擦だけではなく、先端技術をめぐる国家安全保障上の問題へと発展していると指摘する。

沈氏は「米国は法的な手段を使って、中国当局による技術拡張や知的財産権侵害に対抗している。今回の裁判で有罪判決が下され、しかも非常に重い判決となれば、米国にとって重要な先例となる」と述べた。

その上で、「米国が今後も中国政府への圧力を強め、中国の技術発展をより強力に制限し、米国を追い越させない方向へ動くことを意味する」と分析している。

新唐人