中国政府が、新たな「口封じ」に乗り出した。
今回、規制の対象になったのは政治的な発言ではない。一般の人がスマートフォンや電気自動車、食品などを実際に使って調べ、その結果をネットで公開する「商品検証」だ。
中国当局は今月(6月)、ネット上の商品レビューに関する新たなルールを発表した。今後、自動車や電子製品、家電などの性能テストは、原則として国の認可を受けた検査機関が行わなければならない。食品についても、資格のない個人による検証は認めない方針だ。
近年、中国では一般の消費者やインフルエンサーによる検証動画が人気を集めている。スマホから自動車、日用品、食品まで幅広い商品を比較し、「失敗しない買い物」のための重要な情報源になっている。
背景には、「売れればいい」「儲かればいい」という金銭至上主義(拝金主義)の広がりがある。誇大広告や虚偽表示、品質をごまかす行為が当たり前のように繰り返されてきた。そのため消費者も、企業の宣伝を最初から信用せず、自分たちの手で商品の安全性や品質を確かめる文化が根付いていった。いまや、メーカーの宣伝よりも、実際に買った人の検証動画のほうが信用されている。
一方、当局側は、誇大表現や「検証のふり」をした動画、広告をレビューに見せかける行為が市場を混乱させていることを理由に、管理強化に乗り出した。
これに対し、ネット上では「メーカーの宣伝だけ信じろということか」「問題があるのは商品なのに、なぜ検証する側を取り締まるのか」と反発が広がっている。
嘘が多い社会だからこそ生まれた消費者の自衛手段。その手段まで失われようとするなか、「いっそのこと中国製は買わない。外国製のほうが安心だ」。そんな諦めの声まで上がるようになった。
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