中国経済は前例のない課題に直面している。20年以上にわたり中国でビジネスを展開してきた経験を持つアメリカ人実業家、カメロン・ジョンソン氏は、外資系企業が中国のビジネス環境で遭遇する可能性のある8つの大きな課題を明らかにした。

信頼性の欠如から地政学的課題に至るまで、これらの問題は企業が戦略を再考し、中国市場での生存と成長を模索する上で重要な意味を持つ。

「フォーブス」誌の4月8日の記事によると、カメロン・ジョンソン氏（コンサルティング会社Tidal Wave Solutionsのシニアパートナー）は、現在の中国のビジネス環境を「信頼性が不足しており、日々の運営が困難になっている」と評価している。

彼は、中国のビジネス成長に影響を与える要素を挙げた。

信頼性の不足と経済の不確実性

ジョンソン氏は、中国共産党が発表する公式のGDP成長率のデータを見ても、経済の実績がパンデミック前と比較して低下しており、ビジネスの将来に不透明な影を投げかけていると述べた。

「成長を促進するための政府の躊躇や規制が、市場の不安を増大させている」と彼は指摘した。

さらに、ジョンソン氏は、困難な状況にある不動産業界と充足されていない国内需要が、企業の活力を削ぎ、国内消費者の信頼を失わせ、消費支出を抑制していると述べた。

「雇用の不安定さ、不動産と株式市場の低迷による資産の目減り、そして財政問題が状況をさらに悪化させている」と彼は強調した。

透明性の欠如

ジョンソン氏は、「中国共産党の法律や規則は透明性が不足しており、起業家たちは推測で判断せざるを得ない状況だ」と指摘した。

また、国境を越えるデータや国家安全保障に関する分野で導入された厳しい法律が、状況をより複雑にしているとも彼は付け加えた。

政策の方向性の不透明さ

ジョンソン氏によれば、外資系企業も中国の国内企業も、中国共産党が今後取るであろう政策の方向性を理解するのに苦労しているようだ。

過去数十年にわたっては、不動産、輸出、製造業、観光業などの分野で基盤となるインフラと消費者中心の方向性が見られたが、現在はその政策の方向性が不明瞭になっていると彼は述べた。

「外資系企業が直面している課題は、北京が国家安全上重要と考える分野、たとえば半導体やスマートフォンのローカライゼーション（地域化）を特定することにある」と彼は言及した。

地政学的課題

ジョンソン氏によると、2018年の米中貿易戦争から、中国共産党はアメリカ一国に対する対応から、世界的な挑戦に直面する新たな局面に移行したとのことである。

例えば、中国の企業であるバイトダンスが運営するTikTokや、電池メーカーの寧德時代（CATL）は、アメリカからの反対、ヨーロッパの規制強化、中国製の電気自動車に対する関税、そしてアジアの主要な産業供給者に対する制約など、複数の障害に直面している。

ジョンソン氏はまた、現在の地政学的な状況の中で、多くの外資系企業が中国市場を優先することから離れ、中国でのビジネスから利益を他国に移転させる動きがあると指摘した。

特に、外資系企業は調達やサービスの面で課題に直面しており、消費者は外国製よりも国産の製品を選ぶ傾向が強まっている。これは、その製品やサービスが中国国内で生産されている場合でも変わらない。

激しい国内競争

ジョンソン氏は、中国の多くの産業で生産過剰と価格競争が激化していると述べた。

たとえば、中国の電動自動車産業は激しい競争に直面しており、生き残りをかけてメーカーは価格を引き下げている。さらに、多くの業界で目に見えない商戦が展開されている。上海には7千店舗以上のカフェがあり、中国のコーヒー市場は世界でも特に競争が厳しい市場の一つとされている。

人材の課題

ジョンソン氏によると、外国人の中国離れが進む中、中国の研究開発および製品開発のペースが落ちているとのことである。

「特定の産業において、若者の失業は大きな課題である。彼らの多くは十分な訓練を受けていないか、先代と同じような経験を持っていない。特に高度な製造業においては、専門技能を必要とするブルーカラーの職が増えており、これらのポジションを埋めることが困難になっている」と彼は述べた。

融資の障壁

ジョンソン氏はさらに、中国の大手国有企業は国内で比較的容易に融資を受けることができ、大手の民間企業も資金調達の道を見つけていると話した。

「しかし、小規模な民間企業にとっては、手頃な融資を得ることはほとんど不可能に近い」と彼は指摘した。

社会福祉の高コスト

ジョンソン氏によると、中国の社会保険料は企業財務にとって大きな重荷であるとのことである。法律では、社会保険料が従業員の給与の30%から40%を占めることが求められている。

彼は最終的に、「中国の複雑なビジネス環境において、企業家は慎重さと戦略的な視野をバランス良く持つべきである」との見解を示した。

そして、「未来は予測不可能であるが、このような状況下での適応性とレジリエンス（回復力）が最も価値のある資質である」と助言した。