フロリダ州の公衆衛生局長ジョセフ・ A・ ラダポ博士は、10月7日にメッセンジャー RNA (mRNA) ワクチンに関する新しいガイダンスを発表し、18歳から39歳の男性に新型コロナウイルスのmRNAワクチンを接種しないことを推奨した。
メッセンジャーRNAは、ファイザー社とモデルナ社両方の 新型コロナワクチンで利用されている技術であり、米国および他の多くの国で最も多く使われているワクチンだ。
新しいガイダンスは、フロリダ州保健省のワクチン安全性評価の分析に従っていると、同省は速報で述べている。
ワクチン接種を受けた18歳以上のフロリダ州住民に対して行ったデータ分析の結果によると、mRNAワクチン接種後28日以内に、18〜39歳の男性の心臓関連死の相対発生率が84%増加することがわかった。
「非mRNAワクチンには、これらのリスクの増加は見つからなかった」とフロリダ州保健省は指摘した。
「この年齢層の男性の新型コロナウイルスに対する免疫レベルの世界的な高さを考えると、mRNA ワクチンによるワクチン接種の利点よりも、心臓関連死の異常に高いリスクの方が勝る可能性が高い」と同省は述べた。
そのため、州公衆衛生局長官は、「18歳から39歳までの男性が 新型コロナ mRNA ワクチンを接種することを推奨しない」と述べた。「心筋炎や心膜炎などの既存の心臓病を患っている人は、同ワクチンの接種をするという決断を下す際に注意する必要がある」
「安全性への関心はほとんど向けられず、多くの人の懸念は無視されていた。これらはフロリダ州民に伝えるべき重要な発見である」とラダポ氏は分析について述べた。
フロリダ州保健局は新しいガイダンスで、3月に発行した小児用新型コロナワクチンに関するガイダンスも「引き続き支持する」と述べた。そのガイダンスとは、健康な子どもと 5〜 17 歳の青少年に新型コロナウイルスの予防接種をしないことを推奨することだ。現在、5歳未満の幼児への新型コロナワクチン接種は推奨しない。
フロリダ州全体の分析
フロリダ州保健局の分析は、「新型コロナワクチン接種後の全死因および心臓関連死亡のリスクを評価する」ことを目指している。
フロリダ州でワクチン接種が開始された2020年12月15日から25週間以内に死亡した18歳以上のフロリダ州住民が調査の内に含まれている。調査終了日は 2022年6月1日だ。
新型コロナウイルス感染歴がある人、新型コロナ関連の死亡者、新型コロナワクチンのブースター接種を受けた人、または2021年12月8日以降に二回目のワクチン注射を受けた人は、研究から除外された。最後の除外条件は、各人が 25週間後にフォローアップされていることを確認するために設定された。
この研究では、新型コロナワクチン接種は「全死因死亡率のリスク上昇とは関連していなかった」が、「ワクチン接種の 28 日後に心臓関連死亡率のわずかなリスクの上昇と関連する」ことが判明した。
分析によると、「ワクチン接種後の心臓関連死の層別分析の結果は、mRNA ワクチン接種が男性、特に18~39歳の男性の心臓関連死のリスク増加を促進している可能性があることを示唆している」。
また、すべての原因による死亡と心臓関連の死亡の両方のリスクが「新型コロナウイルス感染から28日後に大幅に高くなっている」ことにも言及した。
そのため、この研究では、人々はmRNAワクチン接種に関連するリスクと新型コロナウイルス感染に関連するリスクを比較検討する必要があると結論付けた。
この分析は、ワクチンの安全性を評価するために最初に開発された研究デザインである自己対照ケースシリーズ(Self-Controlled Case Series :SCCS)で行ったと保健局は述べた。SCCS法では、比較が個人内で行われるように、個人を比較対照として使用している。患者のみ(Case-only)で因果関係を評価する研究デザインだ。
米国食品医薬品局(FDA)が2020年に緊急使用のためにファイザー社およびモデルナ社の新型コロナワクチンを承認した。これはmRNA技術を使用するワクチンに対して初めて承認した例である。
FDA によると、mRNA ワクチンにはウイルスの特徴的なスパイクタンパク質を作るように体内の細胞に指示するウイルスmRNA の小片が含まれている。
当局によると、人がワクチンを接種するとき、体はスパイクタンパク質のコピーを生成する。これは「病気を引き起こすことなく、免疫システムがウイルスに対応することを学習し、免疫反応を生じる事になる」。
ファイザーとモデルナのmRNAベースの新型コロナワクチンが心筋炎や心膜炎などの心臓の炎症と関連することは、世界中のデータから判明している。
疾病管理予防センター (CDC) のデータによると、若い世代、特に若い男性は、予想よりもはるかに高い割合で発症している。新型コロナワクチン接種後の心臓の炎症による少数の死亡例も報告された。
ワクチンの主要なレジメン(療法の指針)、つまり数週間の間隔をあけて2回接種することは、感染を防ぐには不十分であり、新たに出現した亜種に対する効果が弱まっていることが示された。これにより、多くの国の政府は、ブースター接種を推奨するようになった。
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