[東京 5日 ロイター] – 訪米中の萩生田光一経産相とレモンド商務長官は5日(米国時間4日)に会談し、半導体のサプライチェーン(供給網)において、半導体製造能力の強化・多様化、半導体不足に対する緊急時対応の協調、研究開発協力の強化などを進めることで合意した。萩生田経産相は会見で「多角的・重層的な協力を進めていくとともに、他の有志国を含めた連携を日米でけん引していく」と述べた。
日米両国は、オープンな市場、透明性、自由貿易を基本とすることなどで合意し、「半導体協力基本原則」として発表した。萩生田経産相は日本がかつて「日の丸半導体」として1国で進めようとして失敗した過去を振り返り「1国で賄うことは現実的ではない。それぞれが得意分野で協力していく」と述べ、相互補完に国としてもコミットする方針を示した。日米に加え、同志国・地域間で連携を広げていく。
日本政府は、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に工場を建設する際に補助金を拠出するなどの支援を行ってきた。萩生田経産相は、米国で活動する日本企業に対して何らかの財政支援を行うことは現時点で考えていないとしながらも「日米で足らざるところを補完できるような体制を強化していきたい。そのために必要な支援があれば果敢に行っていきたい」とした。
レモンド長官は昨年11月に来日し、日米商務・産業パートナーシップ(Japan-U.S. Commercial and Industrial Partnership、JUCIP)を設立することに合意。今回、萩生田経産相の訪米に合わせて初めての閣僚会合が開かれた。
レモンド長官とは、できるだけ早期に経済版の2+2を開催することでも一致した。具体的な開催時期や議題は、今後調整を行っていく。
萩生田経産相はレモンド長官との会談に先立ち、最先端の半導体製造技術研究施設であるAlbany NanoTech Complexを視察。中心的役割を担うIBMや日米半導体関連企業との意見交換を行った。
経産省は昨年11月、半導体の国内産業基盤確保へ3ステップの実行計画を策定した。このなかで、ステップ2として「日米連携による次世代半導体技術基盤」の確立を進め、先端技術開発でも国際競争に負けない体制を作ることを掲げていた。
<LNG増産を要請>
萩生田経産相は、米国エネルギー省のグランホルム長官とも会談を行った。ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギーのロシア依存度を低減する方向を打ち出す中で、米国に対して、液化天然ガス(LNG)の増産を要請したことを明らかにした。増産に際しては「日本企業の米国のLNGプロジェクトに対する投資を最大限支援するうえで、公的融資を付け、米国に対して投資環境の整備を働きかけていきたいという話をした」と述べた。
両国は、クリーンエネルギーとエネルギー安全保障についての定期的な対話を行うため、「日米クリーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブ(CEESI)」を設立することで合意した。
<ロシア産原油の禁輸「直ちに足並みそろえることは難しい」>
バイデン米大統領は4日、対ロシア追加制裁の可能性を巡り、週内に主要7カ国(G7)の首脳と協議すると明らかにした。
エネルギーに関する制裁について、萩生田経産相は「エネルギー安全保障は各国抱えている事情が違う。それぞれの国のスタンスも大事だ」との考えを改めて示した。ロシア産原油の禁輸についても「日本は資源に限界があり、直ちに足並みを揃えてというのは難しい部分がある。ここから先は、できる国ができることをしっかりやっていくことで足並みを揃えていく必要がある」と述べた。
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