「信頼回復に意を尽くして」第三者委、総務省幹部と東北新社らの接待で…改善方針示す

2021/10/04
更新: 2021/10/04

総務省は9月30日、衛星放送関連会社「東北新社」やNTTによる同省の幹部らへの接待について最終報告とする調査結果を発表した。同省幹部は業界の実情を知る場として会食参加を正当化していたと指摘。

調査結果によると、同社は省幹部との接触で人脈作りを図っていたこと、また、省幹部は業界の実情を知る場として会食参加を正当化していたと指摘。委員会は省に対して、疑念払拭のための記録と透明化、マネジメント体制の構築など、改善策を示した。

報告は、今年1月以降に発覚した省幹部と事業者との複数回の会食等について、談合や不正取引の疑念を検証したもの。委員は私大教授や弁護士ら5人からなる。

同委員会は第一次報告書として、6月4日、東北新社の外資規制違反の問題について取り上げた。総務省は平成29年に同社を衛星基幹放送事業者(BS左旋4K放送)に認定しているが、同社の外資比率がすでに20.75%で、外資規制法に違反していた。

報告では、総務省は同社の違反を気づかずに事業者認定したとみなした。しかし、「認定の取り消し等を行わず、むしろ東北新社からの承継認可・申請を追認した可能性が高い」として、「行政がゆがめられたとの指摘を免れない」と結論づけた。

委員会によれば、認定などの決裁に関わった省職員の会食は4件、5人だった。このうち1人は、野球チケットの交付があった。委員会は、会食による影響を断じてはいないが、「事業者との馴れ合い、ムラ意識等の指摘もある」「会食をはじめとした事業者との関係の在り方についてはさらに検討する」と慎重さを促した。

東北新社について、公募の囲碁・将棋チャンネル認定(平成30年5月)と、衛星放送の未来像に関するワーキンググループにおけるBS右旋4K化(令和2年4月)、インフラ料金負担軽減(令和2年4月)も委員会の審査対象になったが、それぞれに不自然な点は見当たらず、同社と総務省の会食による影響は確認できないとした。

NTTグループにおいても、ドコモ携帯料金の低廉化(平成28年)、中間持株会社の設立(平成30年11月)、ドコモの完全子会社化(令和2年12月)のそれぞれの省の対応と同社会食の影響を審査したが、影響は確認できないとした。会食は、異動の際、仕事を円滑にするための顔合わせであり、省職員はNTTとの懇談が政策立案上有意義とみていると指摘した。

委員会は、「少人数の(会食)参加は倫理法違反を助長する。国民の目を忘れ、顔合せの会食という古いやり方を繰り返した事実は、単なる法令の知識や遵守意識の欠如で片付けてはならない」と注意を行なった。

委員会は9月30日発表の最終報告で、総務省は「情報通信行政において、政策と規制を推進するならば、国民の信頼確保に一層意を尽くすべき」と提言した。そして、省職員の自覚や適切な記録および透明性の確保、仕事の属人化の排除など5つの方針を示した。

(佐渡道世)