法輪功迫害は「コールド・ジェノサイド」カナダの学者が研究論文を発表

2018/08/18
更新: 2018/08/18

ジェノサイドを研究する大量虐殺研究者国際協会(IAGS)が刊行する学術誌、「ジェノサイドに関する研究および防止(Genocide Studies and Prevention)」でこのほど、中国当局による気功グループ、法輪功への弾圧は、「人々に察知されにくいコールド・ジェノサイド(cold genocide)に当たる」との研究論文が掲載された。

論文を共同執筆したのは同国マニトバ大学のマリア・チャン(Maria Cheung)準教授、国際人権弁護士デービット・マタス氏、強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)代表トルステン・トレイ医師、弁護士のリチャード・アン(Richard An)氏の4人。チャン準教授らは、調査や検証などを経て、2年間にわたる論文を完成した。

チャン準教授は論文で、まずホット・ジェノサイド(hot genocide)とコールド・ジェノサイドの違いについて述べた。

チャン準教授によると、人目を引く大量殺りくが行われる「ホット・ジェノサイド」と違って、「コールド・ジェノサイド」は、徐々に特定の集団を消滅する政策を指す。「コールド・ジェノサイドはより細部にわたり、多面的でひそかに行われる場合が多い。また、肉体から特定の集団を消滅するにとどまらず、精神的、社会的などの各方面から抹消していくことが特徴だ」

コールド・ジェノサイドは、人々に分かりにくいという性質があると指摘した。

「法輪功への弾圧はコールド・ジェノサイド」

チャン準教授は、従来のジェノサイドの定義が「肉体の消滅を重視してきた」とした。19年間に及ぶ中国当局の法輪功学習者への迫害は「肉体だけではなく、精神的、心理的、社会的など多方面に及んでいる」と述べた。

法輪功は「真・善・忍」に基づいた中国伝統の修煉法で、1992年に公に伝え出された。法輪功は、その優れた健康促進の効果で多くの市民から支持された。90年代末、中国では約7000万から1億人の学習者がいたと中国政府は推測する。しかし、法輪功の人気をねたみ、それを脅威として捉えた当時中国共産党党首の江沢民が、周囲の反対を押し切って、99年7月20日に法輪功学習者への弾圧を始めた。

現在まで、中国では約数百万人の学習者が当局に不法に拘束され、洗脳・拷問を受けたと推測される。確認されただけで、4千人を超える学習者が拘禁中、拷問で死亡した。中国共産党政権は、今も系統的に迫害を続けており、国際社会に対してこの残酷を極めた弾圧の実態を隠し通そうとしている。

同論文によると、中国のインターネット上で、法輪功に関する情報は最も厳しく検閲されている。ネットユーザーが入手できる情報はすべて、法輪功を誹謗(ひぼう)中傷する当局のプロパガンダ宣伝だという。また、法輪功学習者が受けた虐待や拷問について、当局は報道規制を敷いている。

「このため、中国国内で法輪功学習者は社会から孤立化され、理不尽な待遇を強いられている。一方、中国国民は、法輪功に関する正しい情報を把握できていない。これが原因で今まで19年間、迫害の実態は中国社会に無視されている」

強制臓器摘出

 

江沢民が主導した法輪功学習者に対する迫害のうち、最も残酷な行為は、強制的な臓器摘出(臓器狩り)だ。摘出された臓器は、臓器移植を必要とする患者に高値で売られ、中国当局は膨大な利益を得た。しかし、生きたままの状態で臓器を摘出された学習者は、激しい苦痛を伴いながら亡くなっていく。

2006年、他の学者と共同調査を行ったマタス氏は、著書『中国臓器狩り(Bloody Harvest)」を出版した。また、同氏が16年に公表した最新調査によると、中国当局に認可された臓器移植手術の実施病院169カ所で、2000年以降、約100万件以上移植手術が行われた。

チャン準教授は、臓器移植手術を受けた患者は、ドナーについての情報はほとんど知らされていないと指摘し、「当局は依然として、ひそかに強制臓器摘出を行っている」と批判した。

(記者・マーガレット・ウォレンサック、翻訳編集・張哲)