チベット人居住地で大規模抗議が続発 警察の武力で多数死亡

2012/01/28
更新: 2012/01/28

【大紀元日本1月28日】中国四川省のチベット人居住区で抗議が勃発している。旧正月の初日23日から少なくとも3つの地区で大規模な抗議が発生した。ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によると、中国当局の武力弾圧により、すでに10人近いチベット人が死亡し、数十人が重傷、多数が逮捕された。

インドのチベット人権民主促進センターの幹部が25日、RFAに寄せた情報は次の通り。「24日セルタル県では300人以上が抗議デモを行った。現地からの情報によると、朝10時ころ、チベットの自由、ダライラマのチベット帰還を擁護するなどのスローガンを叫んでいた抗議者らが、警察隊と衝突。チベット人2人が銃殺、十数人が重傷、40人以上が逮捕された」

RFAの記者は同日、セルタル県公安局に電話をかけたが、ずっとつながらなかった。同県政府役所に電話取材を申し込んだが「事件のことは知らない」と交わされた。

一方、独ラジオ局ドイチェ・ベレは26日、人権団体・フリーチベットの情報として、この衝突で少なくとも6人のチベット人が死亡したと伝えている。

尚、中国国営通信社・新華社は同日の報道でこの事件を「警察が自衛のために銃を発射し、騒ぎをひき起した不法者1人が死亡、もう1人が負傷、13人が逮捕された」と報道している。

新華社の同報道では、「抗議者は反政府のスローガンを叫び」「不法者たちは警察に銃を発射し、14人の警官が負傷した」と記し、「説得に応じないため、警官隊は自衛のために銃を発射した」としている。

セルタル県での衝突の2日後、アバ・チベット族チャン族自治州のザムタン県で20代の学生が警察との衝突で死亡したとRFAが伝えた。この学生は、焼身自殺をはかったチベット人を偲ぶビラを貼付ける際に警察に殴られ、その場で亡くなったという。この時も約千人のチベット人が現場に駆け付け、警察と衝突になっている。

また、23日にも、セルタル県と同じカンゼ・チベット族自治州のタンゴ県でチベット人の抗議事件が発生し、少なくとも1人の死亡が伝えられている。

新華社は、これらの事件は皆、計画的かつ組織的であり、チベット人らが暴力的な手段で執法機関と関係者を襲撃した行為であり、いかなる国でも許されないと報じた。

現在、チベット人居住地の一部地域は出入り禁止にされているとロイター通信が報じた。

また、チベットの最大都市ラサ市でも緊迫した雰囲気が漂っている。現地のホテル関係者の証言によると、当局はホテル業者に通達を出し、ラサ市以外のチベット人の宿泊を禁止すると命じた。旧正月休暇にあたるこの時期でも、一部の政府機関は、緊急命令を受け出勤している。

米国務省は24日、一連の抗議事件に強い関心を示した。中国政府のチベット政策が逆効果になっているとし、中国政府に対して、ダライラマ14世、その他のチベット亡命政府の代表との対話を再び呼びかけた。

インドのチベット亡命政府の議会は24日に声明を発表。中国政府に対して、チベット政策の見直しや、国際独立メディアによる現地での取材調査を求めるほか、国際社会に対して、中国共産党政権に圧力を講じるよう呼びかけた。

(翻訳編集・叶子)