中国 給料未払い、家の強制取り壊し…募る庶民の怒り

毎日10件超の抗議 中国社会に何が?

2026/11/04
更新: 2026/11/04

働いても給料がもらえない。突然、家を取り壊される。中国では、生活に追い詰められた人々の抗議が各地で相次いでいる。

近年は、社会への恨みを無関係な人々に向ける「社会報復」と呼ばれる無差別襲撃事件も問題となっており、中国社会に広がる不満や不安が懸念されている。

米人権団体「フリーダム・ハウス」の報告によると、2026年7~9月のわずか3か月間で948件の抗議が確認された。平均すると毎日10件以上に上る。

しかも、これは確認できた件数にすぎず、実際にはさらに多くの抗議が起きている可能性がある。

抗議の中心は労働者で、全体の44%を占める。長引く不動産不況で建設会社の資金繰りが悪化し、大手国有企業が関わる工事現場でも賃金未払いが問題になっている。工場の操業停止に伴い、補償を求める労働者もいる。

土地の強制収用や住宅の取り壊しをめぐる争いも深刻だ。2022年6月以降、関連する抗議は1100件を超え、中には20年にわたり補償を求め続けている住民もいる。

中国版TikTok「抖音」では、2026年3~6月の抗議関連投稿が規制強化前の前年同期より約半減した。報告書は、当局の情報規制によって抗議の実態が見えにくくなっており、確認件数の減少が実際の抗議活動の減少を意味するとは限らないと指摘している。

給料が払われず、住まいも守れない。経済不況のしわ寄せを受け、声を上げる人々。その一方で、抗議の声はネット上から消されていく。

行き場を失った不満は、どこへ向かうのか。 中国では、無差別殺傷やフードデリバリーへの毒物混入など、社会への恨みを無関係な人々に向ける「社会報復型」とされる事件のほか、「そんなことで?」と思うようなささいなトラブルをきっかけとした凶悪事件も各地で起きている。

声を上げても解決されない不満が積み重なる中国社会。その怒りの行方が懸念される。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!