中国EV 充電器増設でも長時間待ち 大型連休に混雑が解消しない理由

2026/10/08
更新: 2026/10/08

10月の中国の大型連休期間中、高速道路のサービスエリアでEVの充電需要が急増し、各地で長い充電待ちが発生した。数時間待つドライバーも多く、中には夜明けまで待ってようやく充電できたケースもあった。

専門家は、高速道路での充電難について、単に充電器の数が不足しているだけではなく、連休中は短時間に需要が集中することや、設備投資と実際の利用需要のバランスが取りにくいことなど、複数の要因が重なっていると指摘する。

EVで千キロ超を往復 7回充電 最長4時間超待ち

「十一(毎年10月1日〜7日)」の大型連休中、中国の高速道路ではEVなど新エネルギー車の交通量が大きく増え、多くのサービスエリアで再び充電待ちが発生した。

あるネットユーザーは、連休中に車で旅行した際の様子を動画で紹介した。

「数日の休みを使って旅行に出たが、そのうち3日近くは、充電しているか、充電器を探しているか、渋滞にはまっているかだった」

このユーザーによると、連休中、友人と南京から河南省南陽市や老界嶺景勝地まで車で旅行し、往復で千キロ以上を走った。

友人はガソリン代を節約するためEVで向かい、本人はトヨタ「シエナ」のガソリン車を運転した。

本人は途中で1回給油し、費用は500元だった。一方、友人のEVは7回充電し、電気代は500元余り。最も長い時には4時間以上待ったという。友人の充電を待つ間、急きょホテルに宿泊したこともあった。午前3時に起きて様子を見たところ、友人はまだ充電待ちの列に並んでいたという。

ネット上では、充電待ちの長い列や「空いている充電器が見つからない」と訴える投稿が相次いだ。

整理番号140番を受け取り、夜明けまで待ってようやく充電できたというドライバーもいた。

あるドライバーによると、バッテリー残量が1%まで減って走行できなくなったEVを、サービスエリアの職員と周囲のドライバーが協力して充電器まで押して移動させたという。

各地で充電待ちが深刻化

中国メディア「澎湃新聞」や「瀟湘晨報」などによると、各地の高速道路で充電器の空きを待つ長い列ができた。

9月30日から10月1日未明にかけて、成都の李さんは千キロを走る途中、1回の充電で4時間半待ったと話した。

別のドライバーは、京昆高速道路の陵江サービスエリアで整理番号99番を受け取り、充電できるまで5時間以上待ったという。

甘粛省の劉さんは9月30日午後10時ごろ、蘭海高速道路の洛塘サービスエリアに到着したが、約7時間並び、翌朝5時になってようやく充電できた。

湖北省の棗陽北サービスエリアでは、現地で整理券を配り、順番に呼び出す対応を取った。利用者によると、一時は約200台が充電待ちの列を作った。

現在、中国の高速道路サービスエリアには計約8万9千基の充電設備を設置している。中国交通当局は、連休初日の高速道路における新エネルギー車の通行量がピーク時で約1780万台に達し、平日の1.8倍になると見込んでいた。

中国問題の専門家、王赫氏は、EVの充電難は単純な「充電器不足」ではなく、連休など特定の時期に需要が集中する需給の偏りが大きいと指摘した。

「平日の充電設備の稼働率は30%未満で、地方の充電拠点では5%にも満たないところがある。一方、連休に入ると需要は平時の4~5倍に膨らみ、充電設備が一気に混雑する」と述べた。

「超急速充電」も低速化 バッテリー交換に5時間待ち

報道によると、高速道路のサービスエリアで充電を待っているのはEVだけではなく、レンジエクステンダーEVやプラグインハイブリッド車も含まれる。

限られた充電設備の利用をめぐり、ドライバーの間でも意見が分かれている。

一部のEV利用者は、レンジエクステンダー車やプラグインハイブリッド車が限られた高速道路の充電設備を占有していると不満を訴える。

「10基あるうち8基をハイブリッド車が使っていた」

「並んでいる車の半分以上がレンジエクステンダー車だった」

といった声も出ている。

一方、レンジエクステンダー車の利用者からは、バッテリー容量が比較的小さいため、実際の充電時間はそれほど長くないとの意見もある。混雑が激しい場合には、充電せずガソリンで走行を続けるという。

また、一部の利用者は、大出力の「超急速充電」をうたう充電所でも、車両が集中すると宣伝通りの速度が出ないと訴えている。

「5分で十分に充電、9分で満充電とうたっているのに、蓄電設備の電力が足りず、実際には大幅に遅くなった。超急速充電が低速充電になってしまった」

との声もあった。

関連ブランドのカスタマーサービス担当者は、新浪財経に対し、現時点では個別に調整することはできず、別の超急速充電所を試すよう案内した。

バッテリー交換所でも混雑が起きた。ある利用者が提供した交換所の画面には、前に28人が待っており、予想待ち時間は5時間16分と表示されていた。

充電器は増えても混雑 業界では投資過剰も

高速道路サービスエリアでEVの充電需要が急増したことを受け、一部ではバッテリー残量が80%に達した時点で充電を終え、車両を移動させるよう求める臨時措置も取られた。

ただ、利用者からは、高速道路の渋滞や低温環境、次のサービスエリアまで距離がある場合などを考えると、80%で充電を打ち切ることに不安を感じるとの声も出ている。

近年、こうした充電待ちの混雑は大型連休のたびに繰り返されている。

当局や企業も、移動式充電設備の導入や一時的な充電制限、混雑情報の提供、充電を80%までに制限する措置などで対応してきた。

しかし王赫氏は、こうした臨時措置では根本的な解決にはならないと指摘する。

同氏によると、充電業界が直面する根本的な課題は、技術更新が速く、需要の変動も大きいなかで、投資や設備更新と実際の需要とのバランスをどう取るかにある。

中国では充電設備の設置数が増え続けている。政府の計画でも今後さらに増設する方針だが、新たな設備をどこに配置するのか、また誰が市場に参入できるのかが新たな課題になる。

王氏は、高速道路や都市中心部、主要拠点周辺の約5キロ圏内は比較的利益率が高く、国有企業が市場を強く押さえていると指摘した。

高速道路の充電設備は、一般の都市部の充電所とは事情が異なる。高速道路などの主要地点では、土地や電力網、変圧器など、参入が限られるインフラ資源が設備拡大の大きな制約になるという。

一方、充電設備業界では、すでに過度な競争も起きていると王氏は指摘する。

「この業界はすでに深刻な過当競争に陥っている。問題は投資過剰だ」と述べた。

李浄
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。