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台湾・香港 国安法で重刑の可能性 王丹「香港は終わった」

「一国二制度というより香港が死んだ」 黎智英氏有罪判決に懸念の声

2025/12/19
更新: 2025/12/19

香港の著名な民主活動家の一人、黎智英(ジミー・ライ)氏(78)が15日、香港国家安全維持法(国安法)を巡る裁判で有罪判決を受けた。

これを受け、「もはや『一国二制度が死んだ』という段階ではない。『香港は死んだ』と言うべき状況だ」と、中国の民主化運動を代表する活動家の王丹氏は交流サイトへの投稿でつづった。

そのうえで、国安法が中共に都合の悪い発言を封じるために使われてきた結果だとして、香港の現状を強い言葉で批判した。さらに王丹氏は、「このままでは、次は台湾だ」と危機感を示した。

 

天安門事件の元学生リーダーの王丹氏(王氏のSNSより)

 

今後は量刑の言い渡しに焦点が移るが、黎氏は判決では事件の「首謀者」と位置づけられており、重い刑が科される可能性が高い。

黎氏は2020年末に収監されて以降、5年に及ぶ獄中生活を送っている。2022年には別件の詐欺罪で禁錮5年9月の実刑判決を受け、現在も服役が続いている。高齢で健康状態の悪化も指摘される中、長期刑となれば「事実上の死刑」に相当するとの声も出ている。

「もし黎氏が獄死すれば、殉教者となり、強大な抵抗の象徴となるだろう」として、米上院の超党派議員30人以上が10月、トランプ氏に共同書簡を送り、黎氏の早期釈放を中国に働きかけるよう求めた。これを受け、トランプ氏は10月末、韓国で中共の習近平と会談した際に黎氏の釈放を要請したと、ロイター通信が報じている。

香港国家安全維持法に関連する審理は、香港政府トップの李家超・行政長官が指名した判事が担当している。判決には中共当局の意向が反映されるとの見方が根強く、中共政権関係者はこれまで黎氏を名指しし、「厳罰を与えなければならない」と批判してきた経緯がある。

香港情勢に詳しい関係者の間では、黎氏が重罰を回避するには、政治的な取引以外に現実的な選択肢は乏しいとの見方が強い。

こうした状況は、黎氏個人の問題にとどまらず、香港の民主政治そのものが制度の中から消えつつある現実を浮き彫りにしている。

香港の民主派運動を象徴してきた最大勢力の民主派政党「民主党」は、12月14日に約30年の活動に幕を下ろし、解散した。これにより、これまで残存していた主要な民主派政党は消滅し、香港の政治から制度内の民主勢力は事実上姿を消した。王丹氏が指摘するように、香港の民主政治はすでに終焉を迎えており、「香港は死んだ」と指摘される現状に至っている。

 

2019年6月、香港で約200万人が参加した大規模な反政府デモ。6月12日、警察による強制排除に抗議し、「痛心疾首(痛恨の極み)」と書かれた横断幕を掲げる市民。(Anthony Kwan/Getty Images)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!