中国共産党の統治下にある香港で、複数の書店が警察の摘発を受けた。報道によると、台湾から持ち込まれた一部のいわゆる「禁書」が関係しているとみられる。この動きを受け、台湾では市民が相次いで書籍を購入し、そのうちの一冊がベストセラーとなっている。
香港警察の国家安全部門は7月15日、「国家安全法違反」の疑いで、旺角にある独立系書店2店――「留下書舍」と「田園書屋」を捜索した。女性3人と男性2人の合わせて5人を逮捕し、関連する証拠品を押収したとしている。
このうち「留下書舍」では、逮捕された女性店員が手錠をかけられ、「私は書店の店員です」と書かれた黒いTシャツを着て、胸を張って店の外に出た。その様子はソーシャルメディア上で拡散し、関心を集めている。
香港当局は同日夜に声明を発表したが、対象となった書店名は明らかにしていない。一方で、国家安全部門は税関からの情報提供を受け、過去に海外から香港に送られた貨物の中に「扇動的意図を持つ」とされる書籍が含まれていたことを把握していたと説明している。また、逮捕された5人については、店内でこうした書籍や物品を展示・販売していた疑いがあるとしている。
逆に台湾でベストセラー化した背景
香港の複数のメディアによると、問題とされた書籍には、台湾の衛城出版社が刊行し、アメリカの公共ラジオNPRのワシントン特派員、馮哲芸氏が執筆した『唯紅花綻放:習近平時代のアイデンティティと帰属』が含まれている。この本は、共産党体制の周辺に置かれた人々20人の証言や体験をまとめたもので、人権派弁護士やウイグル族の父親、武漢封鎖を記録した作家、香港の銅鑼湾書店の元店主、林栄基氏などが登場する。
台湾の自由時報は、今回の逮捕が明らかになると、台湾の読者の間で書籍の購入を呼びかける動きが広がったと報じている。この影響で『唯紅花綻放』は、オンライン書店「博客来」の中文書リアルタイムランキングで1位となったほか、誠品書店の日次ランキングで4位、金石堂のリアルタイムランキングで2位に入るなど、短時間で順位を上げている。
インターネット上では、「香港では本を販売しただけで逮捕されるが、台湾ではその本がベストセラーになる」などの意見や、「この本が広く知られるようになった」といった投稿が見られる。
著者の馮氏も、逮捕現場の写真をSNSで共有し、「彼女の服には『私はこの書店の店員です』と書かれている」と英語でコメントしている。
香港では今年に入り、独立系書店が捜索を受けるのはこれで3回目である。今年3月には「一拳書館」の従業員4人が連行され、その際には『黎智英伝』が関連書籍の一つとみられている。また、6月から7月初めにかけては、「獵人書店」の創業者で元民主派区議員の黄文萱氏とその夫も拘束されている。
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