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米国防長官がパナマ訪問 「中共の手から運河を奪還する」

2025/04/11
更新: 2025/04/11

ピート・ヘグセス米国防長官は、パナマ訪問中に「パナマ運河は中国共産党(中共)からの新たな脅威に直面している」と述べ、アメリカはパナマと協力してこの重要な戦略的水路の安全を確保する意向を示した。

トランプ米大統領は、就任後に世界の航運において重要な役割を果たすパナマ運河を取り戻すと宣言した。4月8日、ヘグセス長官はパナマ訪問中に、運河が新たな脅威に直面していると発言した。

ヘグセス長官は「パナマ運河は中国によって建設されたものではなく、また中国が運営しているわけでもない。中共はこの運河を武器として利用することはできない。アメリカは共産中国や他のどの国でも運河の運営やその完全性を脅かすことを決して許さない」と述べ、アメリカが中共の影響力からパナマ運河を奪還する意志を強調した。

台湾国防部のシンクタンク「国防安全研究院」の鍾志東博士は次のように述べている。「パナマは太平洋と大西洋を結ぶ重要な地点であり、アメリカの東海岸と西海岸を結ぶ海運の要所だ。したがって、アメリカは他国、特に敵対的な中共がパナマ運河を支配することを決して許さないだろう。このため、ヘグセス国防長官の訪問は、間違いなくパナマ運河に関する問題が焦点となる」

一方、中共駐パナマ大使館は8日にSNSで声明を発表し、アメリカが中巴(中国-パナマ)協力を妨害しようとしていると非難した。

台湾大学政治学部の副教授、陳世民氏は次のように指摘している。「過去1〜2週間、中国政府が李嘉誠一家に圧力をかけている様子から、中共が李嘉誠氏に対して相当な影響力を持っていることが明らかだ。この影響力が今後、パナマ運河の両側にある港湾が回収されない場合、中共がこれらの港湾を通じてパナマ運河を支配する可能性を示唆している。これが、ヘグセス国防長官が『奪還』という言葉を用いた理由でもある」

ヘグセス氏は、パナマでの最初の公式行事として、かつてアメリカがパナマ運河を管理していた時代の戦略的拠点であるロッドマン軍事基地を訪問した。また、20世紀初頭にアメリカが建設したミラフローレス閘門も視察したが、主権移譲後にパナマが開発・管理するココリ第三閘門には立ち寄らなかった。

陳世民氏は次のように述べている。「過去、アメリカがパナマ運河を返還した際の条約では、他国の支配を許さないと明記されていた。しかし、この10年間で状況は変わり、パナマ運河が徐々に中共の影響下に置かれている印象がある。これがトランプ政権が変化を求める主な理由だ」

現地メディアによると、8日、パナマ当局は公共行政違反や国家利益損害の罪で調査を開始したと発表した。この事件は香港系CKハチソンの子会社であるパナマ港湾会社(Panama Ports Company)の契約更新問題に関連している。

鍾志東博士は「監査やその他の名目で、この取引全体を精査している。現在、不正な監査手続きが理由でCKハチソンの運河関連事業権限が行政的手段で否定されている。この動きは、現在のパナマ政府がアメリカからの圧力の下で積極的に協力し、中国の影響力を排除しようとしていることを反映している」と述べた。

中共政府とパナマ政府は2017年11月、「一帯一路」構想に関する覚書を締結した。専門家によれば、中共はこの政策を通じて中南米への進出を積極的に進め、アメリカとの競争を強めている。これにはインド太平洋地域における東シナ海、台湾海峡、南シナ海問題への米国の介入を牽制する意図も含まれている。

鍾志東博士は「これは再び中国がアメリカの国家安全保障にとって最大の脅威であることを浮き彫りにしている。トランプ政権の対中抗戦は、現在のワシントン外交政策の中心的なテーマだ。ヘグセス国防長官が『中共から運河を奪還する』と発言したことも、安全保障問題における対中戦略の一環として重要だ。パナマ運河問題は、米中間の緊張関係を象徴している」と結論付けている。