ブラジル最高裁がイーロン・マスク氏のXを全面停止

2024/09/01
更新: 2024/09/01

ブラジル最高裁判所は、イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディアプラットフォームXの全面停止を命じた。理由は、ブラジル国内での法的代表者を指名しなかったためだ。

ブラジル連邦最高裁のアレクサンドル・デ・モラエス判事は8月30日(現地時間)、Xの全面停止を命じ、ラテンアメリカ最大の経済圏にある同社の数百万人のユーザー接続が断たれる見込みとなった。

デ・モラエス判事の命令では、インターネットサービスプロバイダーやアプリストアに対し、Xへのアクセスを遮断するために5日間の猶予を与えている。また、この禁止を回避するために仮想プライベートネットワーク(VPN)を使用するブラジルのユーザーには、1日当たり8900ドル、日本円でおよそ130万円の罰金が科されることも発表した。

デ・モラエス判事は、Xが命令に従うまでこの遮断が続くと述べた。

「イーロン・マスクは、ブラジルの主権、とりわけ司法を完全に軽視し、自分自身を真の超国家的存在として仕立て上げ、各国の法律とは無関係であることを示した」とデ・モラエス判事は書いた。

Xは8月29日、ブラジルで政治的敵対者を検閲する「違法な命令」があったため、サービス停止になる見込みだと発表しており、今回のサービス停止は広く予想されていた。

「まもなく、アレクサンドル・デ・モラエス判事がXにブラジルでのサービス停止を命じることが予想される。なぜなら、彼の政敵を検閲するという彼の違法な命令に従わないからだ」とXは声明で述べた。プラットフォームは、デ・モラエス判事がXのブラジルの法定代理人を投獄すると脅し、その後に彼女の銀行口座をすべて凍結したと主張した。

ブラジルの検閲を非難しているマスク氏は、ブラジルの選挙と司法制度に関する虚偽の情報を広めたとされる個人に対する刑事捜査の対象となった。

8月30日の停止命令は、8月28日にデ・モラエス判事が出した命令に続くもので、同判事はX社に対し、会社に対する請願に応じて24時間以内にXブラジルの新しい法的代表者を任命するよう求めた。8月28日の命令では、判事は従わなければプラットフォームの停止につながると警告した。

Xの広報担当者は、営業停止命令に関するコメントの要請に対し、8月29日の声明を参照にした。

マスク氏はまだこの停止に関して公の声明を発表していないが、グレン・グリーンウォルド記者の分析を称賛した。グリーンウォルド氏は、デ・モラエス判事の要求を、政権がオンラインプラットフォームを利用して異議を抑え込む広範な傾向の一部と位置付けている。

「ブラジルだけでなく、民主主義世界全体の国々が、インターネットが自由な意見交換の場となり、人間が自由かつ個人的に組織化できるようになるのを阻止するために、どのような手段を講じようとしているのか、本当に驚くべきことだ。彼らは、これが既存の権力と現状維持の支配階級の特権に対する唯一の脅威であると認識しているからだ」と、グリーンウォルド氏は自分の分析で述べている。

Xは8月29日の声明で、デ・モラエス判事の要求と関連する裁判所の書類を今後数日中に公開する計画があると発表した。

「他のソーシャルメディアやテクノロジープラットフォームとは異なり、私たちは違法な命令に秘密裏に従うことはない」とXは強調した。「ブラジルや世界中のユーザーに対し、Xは言論の自由を守ることにコミットしている」と同プラットフォームは付け加えた。

ブラジル当局は以前にも、通信事業者に対し、特定のウェブサイトへのアクセスを遮断しなければ、毎日罰金を科すと命じたことがある。

マスク氏がブラジルによる検閲を非難する一方で、ブラジル当局はX社が同国のインターネット法に違反していると主張している。

今年初め、デ・モラエス判事はデジタルミリシアと呼ばれるアカウントの調査中にXに特定のアカウントのブロックを命じた。このアカウントは ブラジルのジャイル・ボルソナロ元大統領の政権下でフェイクニュースやヘイトメッセージを広めたとされている。

昨年、ブラジルの連邦判事は、メッセージングアプリ「Telegram」に対して一時的な停止命令を出した。これは、連邦警察が要求したネオナチのチャットグループに関するすべての情報を提供しなかったとされるためである。

2016年、ブラジルの裁判所は、1億人以上のユーザーを持つメッセージングアプリ「WhatsApp」に対して72時間の全国的な禁止命令を出した。これは、所有者であるMetaが警察の捜査で要求された暗号化情報を提供しなかったためだ。この禁止命令は、2015年2月以降、WhatsAppに対して出された4回目の停止命令だった。

当時、裁判所は、WhatsAppへのアクセスを遮断しないプロバイダーに対して、従うまで1日あたり1万5300ドル、日本円でおよそ224万円の罰金を科すと裁定した。

 

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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