このほど、中国SNSに交通警察によって電動バイクを取り上げられた男性が絶望の末、道路の真ん中に「横たわり」抗議をする様子を捉えた動画が拡散されて話題になっている。
撮影時点も時間も不明だが、この男性の行動は「公権力乱用に対する低層市民の怒りや絶望、そして無力さを表している」と捉える声が多く上がっており、中国の現状に対する嘆きが広がっている。
関連動画をめぐり、「男性は自殺を図り、交通警察に抗議しようとした」と推測する人もいれば、「男性はそうすることで、バイクを取り戻せるかもしれないと賭けをしている」という意見も目立つ。
いずれにしても、男性が「車両が行き交う危険な道路」に横たわったのは事実であり、その行為は極めて危険であることは間違いない。
「もし男性が本当に交通警察から押収されたバイクを取り戻すために道路へ横たわりしたのならば、悲し過ぎる」
「バイクの値段などたかが知れているのに、命の危険をおかしてまで賭けることか?」
SNS上では、絶望する男性に寄り添う声が広がっている。
(交通警察に電動バイクを取り上げられて絶望し、車両が行き交う道路の真ん中に横たわった男性の姿)
バイク取り締まりの真の動機は?
中国各地の地方政府は逼迫する財政の足しにするため、あらゆる種類の「罰金取り」に躍起になっているのだろう。
そのなかでも、免許なしで運転できる電動自転車や電動バイクへの取り締まりが強化されており、「交通安全」の旗印のもとで、恣意的な罰金取りが行われている。
とにかく一枚でも多く「違反キップ」を切るため、血眼になった交通警察が街中をうようよしているという。
しかし、多くの低層に生きる中国市民にとって、電動バイクは彼らの「足」であり、生業に欠かせないものだ。
市民から暴力的にバイクを取り上げる交通警察の様子やバイクを取られまいと交通警察に立ち向かう市民の姿を捉えた動画は、時折SNSにも流出しており、大きな社会問題にすらなっている。
なかには「バイク」生業としているフードデリバリー配達員が交通警察に跪いて「バイクを取り上げないで」と懇願するシーンも各地で捉えている。
政府がなぜ電動バイク取り締まりに躍起になっているのか、このことに関しては「収益を上げるため」、「新車を買わせるため」などとネットでは熱く議論されている。
そんななか、北京などで最近、「シェア・電動バイク」ビジネスが始まったことで、SNS上では「市民の電動バイクへの取締りは富裕層や権力者らによるこのビジネスのせいだったのでは」という憶測も広がっている。
「真の動機」が何であるにせよ、一部交通警察が、市民から取り上げた電動バイクをそのまま「中古屋」に持ち込んで換金したり、あるいは東南アジアやアフリカに「輸出」して稼いでいることは中国市民の「周知の事実」であり、市民の間で不満が渦巻いている。
そうするなか、一部の地域では、「シェア・電動バイク」を破壊する事件が起きている。当局に電動バイクを取られた市民による「復讐」とされている。
(若い市民の乗る電動バイクを取り上げようとして暴力を振るう交通警察に立ち向かう周囲民衆)
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