中国 罪のない子供らを人災で失った罪は消えない!

中国・四川大地震16周年 「政府がした約束は、今も守られていない」=遺族

2024/05/16
更新: 2024/05/16

おから工事」と呼ばれる手抜き工事で大勢の犠牲者を出した四川大地震汶川地震)から16年が過ぎた。

2008年5月12日の現地時間14時28分に、中国四川省の汶川県を震源とするマグニチュード8.0クラスの巨大地震が発生した。

震災当時、付近の民家は大きな被害を受けなかったにもかかわらず、多くの小学校や中学校の校舎がパンケーキ現象を起こして全壊。大勢の児童や生徒が、一瞬にして犠牲となった。

数年前にできたばかりの新しい小学校まで倒壊した原因は、コンクリートにほとんど鉄筋が入っていない「おから工事(豆腐渣工程=工事施工が不良で、検査の抜けがある場合)」と呼ばれる「手抜き工事」がなされていたため、とされている。

震災直後は、中国メディアもこの問題を報じていたが、批判の拡大を恐れる当局によって報道は後に規制された。

それでも「原因解明」や「手抜き工事を許した地元政府の責任追及」を求める声は、この16年、止むことはなかった。

遺族らは集団で北京の中央政府に陳情を行ったが、当局の圧力や懐柔でつぶされ、公安当局からは「海外メディアなどから取材を受けるな」と脅迫され、監視下に置かれて声を上げられないでいる。

地震で崩壊した小学校「富新第二小学(四川省徳陽市綿竹市)」の校舎跡地で犠牲になった児童の遺影を掲げる遺族。(中国のネットより)

地震で犠牲になった学生の遺族は16年経ったいまも、亡くなった子を自由に追悼することができないのだ。

米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)13日付によると、子どもたちの命日の前日(12日)、地震で犠牲になった生徒の親、計百人以上が、地震で崩壊した中学校「四川都江堰聚源中学」の校舎跡地を訪れた。

しかし、跡地現場や周辺道路には大勢の公安や私服警官が見張りをしており、当局者らは手をつないで「人間の壁」を作るなどして遺族が校舎跡地に近づくことを阻止したという。

現場にいた記者らしき人物は公安によって追い返され、私服警官らは遺族が持ってきた弔い品を奪い、遺族が携帯電話で撮影するのを阻止したという。

現場は双方の対峙で一時は緊迫した雰囲気になったが、最終的に双方による交渉の末、当局は遺族が跡地へ花を供えることだけを許可した。しかし、追悼は許されなかったのだ。

遺族らは跡地の向かいの道路で、追悼を行うしかなかった。

地震で一人息子を亡くした周興蓉さんは次のように訴えた。

「私たちは16周年の節目に子供たちが亡くなった場所で追悼がしたいだけ。しかし、これぽっちの願いさえ叶わないなんて」

「あの子は人災によって亡くなった。手抜き工事の責任追及もされないまま時間だけが過ぎていく。私たちは本当に怒っている」

「私は毎年、息子を亡くした跡地で追悼をしている。そして亡くなった息子のために、正義を求めてこれまで何度も北京へ陳情してきたが、返事は全くない。陳情するたび地元へ強制的に連れ戻されて、悔しい気持ちを噛みしめながら懸命に生きているが、健康状態は悪化する一方だ」

地震で犠牲になった別の児童の保護者である魯碧玉さんも、「これまで何度も北京に陳情してきたが、そのたび不当に拘束されてきた」という。

「私は心身共に極度に疲労している。地震の後、養子にもらった息子はもう12歳になった。昔のように亡くなった子供のために陳情することが難しくなったため、毎年こうして跡地で追悼することしかできない」と嘆く。

四川省徳陽市綿竹市にある小学校「富新第二小学」で犠牲になった児童の親である桑軍さんは「地震の後、現地政府は第二の子を産むよう勧めた。『第二子の教育費と医療費、さらには犠牲になった児童の親たちの医療費まで政府が負担する』と約束してくれたが、16年経った今も、その約束は守られていない」と訴えた。

別の犠牲児童の保護者は「政府当局は今でも崩壊した学校がおから工事であったことを認めていない。そのため責任追及の動きは全くない。犠牲になった子供たちのために墓も建ててくれない」と糾弾している。

地震で崩壊した小学校「富新第二小学(四川省徳陽市綿竹市)」の校舎跡地で犠牲になった児童の遺影を掲げる遺族。(中国のネットより)

犠牲者の実数は「いまだ不明」

2008年の汶川地震について、中国共産党は未だ死者数を隠ぺいしている。

当局の公式発表によれば、大地震の死者は6万9227人、負傷者は37万4643人、行方不明者は1万7923人だった。しかし、米国の民間団体が集計した非公式統計によると、実際の死亡者は約30万人だ。そのうち3万人が校舎で授業を受けていた幼稚園児を含む子供だった。

地震発生時には、学校6898棟を含む21万6千棟の建物が倒壊した。校舎の倒壊により多くの生徒が圧死したが、付近の官公庁の建物に被害はなかったため、物議を醸した。共産党の幹部や官僚が勤務するこれらの建物は耐震設計が採用されたが、校舎には取り入れられていなかった。

子供を亡くした両親らは「自然災害ではなく、人災だ」と中国共産党当局を批判した。

中国問題評論家の李沐陽(りもくよう)氏は自身のチャンネルで、「中国共産党にとって、中国人の命など価値のないものに等しい。共産党幹部の目には、死者数もただの無機質な数字にしか映らない」「中国の建築物は最も質の悪い資材で建てられ、そのうえ手抜き工事だ。余った利益は賄賂として共産党の役人に贈られた」と述べた。

李沐陽氏は「もし(建築で)何か問題が起きても、中国共産党は力ずくで鎮圧する」「これが中国共産党の邪悪な本質だ」と指摘した。
 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!