世界貿易の混乱招くか? 海運大手マースクとハパックロイドが紅海での船舶運航を一時停止

2023/12/17
更新: 2023/12/16

イランが支援するフーシ派の武装勢力による商船への連続攻撃が貿易の中断を引き起こし、世界第二位のデンマークの海運大手コンテナ船運航企業であるマースクは12月15日、紅海を通過するすべてのコンテナ船の運航を一時停止すると発表した。これに続き、ドイツの国際海運会社ハパックロイドも、同地域を通過する運航の一時停止を発表した。 

12月15日、マースク社は声明の中で、「昨日(12月14日)に『マースク・ジブラルタル号』への攻撃未遂事件が発生し、今日は別のコンテナ船が攻撃を受けたことを受け、マンデブ海峡を通る予定のすべてのマースク船舶に対し、一時停航し、さらなる指示を待つよう指示した」と述べた。

マンデブ海峡はインド洋と紅海を結ぶ狭い水路である。スエズ運河をアジアと欧州間のショートカットとして使用する船舶は、すべてマンデブ海峡を通過しなければならない。

マースクは14日、オマーンのサラーラからサウジアラビアのジッダへ向かう途中の「マースク・ジブラルタル号」がミサイル攻撃を受けたが、幸いにも乗組員と船舶は無事であったと発表した。

同社は15日の声明で、「我々は、紅海南部およびアデン湾での安全状況が大幅に悪化していることに深い懸念を抱いている」「最近、この地域で発生した商船への攻撃が懸念され、乗組員の安全と保護に重大な脅威をもたらしている」と述べた。

マースクの発表後間もなく、もう一つの海運大手であるハパックロイド社は、紅海を通過する運航を次の月曜日まで一時停止し、その後の運航停止期間を決定すると発表した。

現時点でマースクとハパックロイドがいつまで航行を停止するかは不明であるが、この措置はフーシ派の攻撃の重大性と経済的な破壊力を浮き彫りにしている。マースクは300隻以上の船を有する船隊を保有している。

輸出・国際貿易研究所の所長マルコ・フォルジオーネ氏は、世界貿易の約12%がスエズ運河に、5%がパナマ運河に依存していると述べている。今、パナマでは深刻な干ばつが発生し、海運に影響を与えている。

「これらは国際貿易の流れにとって非常に重要である」とフォルジオーネ氏は述べ、「運河がスムーズに機能しない場合、船の遅延や誤った場所での停泊による損害やサプライチェーンの中断は大きなドミノ効果を引き起こすであろう」

この地域の混乱は、サプライチェーンと世界貿易を混乱させる可能性がある。2021年3月、台湾のエバーグリーン海運の巨大コンテナ船「エバーギブン」がスエズ運河で座礁し、運河の両端で船が大渋滞を起こした。この事故により、数週間で運河の輸送能力が20~30%減少したと推定されている。

過去数日間に、フーシ派の攻撃がエスカレートしたようである。先日、一日のうちに、少なくとも3隻のコンテナ船がイエメン近くで攻撃または妨害を受けた。

マースクの決定は、米国が海上特殊部隊の組織を推進する上で新たな緊急性をもたらしている。この部隊は、紅海を通過する船舶をフーシ派の攻撃から守ることになる。

米国の国家安全保障顧問ジェイク・サリバン氏は、15日にイスラエルで記者たちに対し、バイデン政権が国際連合を組織して、イランが支援するフーシ派による紅海の国際航路への脅威に対抗していると述べた。

張婷
関連特集: 中東・アフリカ