この頃、中国においては「移民」というワードが大人気になっている。
今月18日、中国SNSウィーチャット(微信)では、キーワード「移民」の検索回数が1156%急増して、5.1億回検索されたことがわかった。
驚異的な数字を叩き出したその数日後(10月22日)に、この「移民」のワードは、過去にユーザーが調べたキーワードの動向をリストで表示するウィーチャットのトレンドリスト「微信指数(ミニプログラム)」から削除されることになった。
現在「微信指数」で同ワードを検索すると「この単語は登録されていない」と表示される。「移民」のワードを検索できないよう、中国当局が隠したのである。中国においてSNSは全て当局の管理下にあるため、いわゆるトレンドや人気度は、いくらでも恣意的にコントロールすることができるのだ。
検索ワードの「移民」が人気なのは、今に始まったことではない。2020年よりゼロコロナ政策が実施された後も、このワードはウィーチャットでの検索回数が短期間で1億回を超えていた。昨年末の「白紙革命」以降も、「移民」は検索回数1.16億回超えの人気ワードになっていた。
中国経済の低迷のなか、もはや国民の不満や怒りは大爆発寸前にある。中国の富裕層は「地下銀行」を通じて、自分の資金を中国から海外へ大急ぎで移動させている。中間層は、なんとか海外へ移民するため奔走中だ。
では、お金のない庶民は、どうするか。「走線」とよばれる密入国によって、中南米のジャングルを徒歩で突破し、命懸けで米国領内へ入ろうとする。ともかく皆が、なんとかして中国から逃げようとしているのだ。
中国人が移民を熱望する理由について、関連トピックスには「中国共産党は定期的に政治運動を行うから、皆それを恐れている」「私の周囲の人たちは皆、自分の子供や孫の世代のために移民という道を望んでいる」といった声が寄せられている。
かつて中国大陸で政変があるたびに、中国人は、当時まだ英国領であった香港へ脱出しようとした。しかし、自由民主の牙城であった香港は、すでに中国共産党の手中に「落ちた」。大量移民から、さらに大量「難民」の段階へ進むのか。日本をふくむ世界は、注視する必要があるだろう。
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