【プレミアム報道】気候変動に関する「議論の余地もない」時代は終わった(3)

2023/10/23
更新: 2023/11/21

なぜ激しく反応?

マン氏やシュミット氏のような科学者が声を荒げている新しい論文は、ここ数十年で記録された温暖化の半分近くが、実際には「都市のヒートアイランド」効果と呼ばれるものの結果であることを示している。

世界中の多くの気温観測所が、時間の経過とともに都市化した地域にあるため、それらの観測所が作成する気温記録は、人為的で局地的な温暖化を示している。

論文によれば、記録された温暖化の残りは、NASAが記録した太陽活動の変化で説明できるという。

18か国の約40人の研究者からなるチームを率いた新しい研究の科学者たちは、エポックタイムズのインタビューで、この研究結果は政府やメディアによって推し進められている恐怖を煽るような報道を根底から覆すものであると語った。

また、この研究は温暖化の説によって正当化されてきた世界的で大規模な政策変更と何兆ドルもの政府支出を危うくするものであると専門家らは指摘した。

このような疑問が提起されたのは今回が初めてではない。今回発表された研究は、同じ科学者を含む連合が以前に発表した論文に基づくものだ。以前発表された論文は、NASAが記録している太陽活動の変化が、ここ数十年間に観測された温暖化の原因の100%を占める可能性があることを示している。

これらのことはすべて、大気中に自然に存在する「温室効果ガス」全体の1%にも満たない二酸化炭素の人為的排出が、ここ数十年間に観測された温暖化の主な原因であるという説と矛盾している。

2017年1月6日、ドイツのオーバーハウゼンで、STEAG社の石炭火力発電所から立ち上る煙 (Photo by Lukas Schulze/Getty Images)

地球温暖化は人為的なものであるとする説は、国連や米国を含むその加盟国の多くの政府によって支持されている。この説は、年間数千億ドルもの税金を費やし、さまざまな分野における公共政策の大幅な変更を正当化するために利用されている。

スーン氏やCERESのローナン・コノリー氏をはじめとする科学者たちが率いている、この論文の背後にある世界的なチームとその発見は、気候変動産業全体にとって致命的な脅威である。

世論調査によれば、米国の成人の半数が人為的な温暖化説を否定している。

今年初めに発表されたAP-NORCの調査では、気候変動が人間活動によって引き起こされたと考える米国人は半数以下に留まった。

また同じ世論調査によれば、人為的な地球温暖化防止のために、毎月1ドルでも余分にエネルギー料金を支払うことを受け入れると回答した成人は、全体のわずか38%だった。

気候変動コミュニティとその資金源である政府は、何兆ドルもの税金を投入し、気候変動に対処するためにエネルギーシステム、さらには世界経済の全面的な再構築を求めている。利害関係はこれ以上ないほど大きい。

エポックタイムズがコメントを求めた多くの気候科学者は、公式に回答することを拒否した。

これらの気候科学者は気候科学と称されるものは深く堕落していると指摘し、もし公の場で発言すれば、温暖化は人為的とする支持者から報復される可能性があると警告する者もいた。

2021年10月13日、スコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26気候サミット会場近くの壁に、グランサム気候アート賞2021の一環として壁画を描くストリートアーティストたち (Andy Buchanan/AFP via Getty Images)

報復と論争

この報復に直面している科学者の一人が前出のニコロフ氏だ。

ニコロフ氏は、シュミット氏と『サイエンティフィック・アメリカン』誌のシニア・オピニオン・エディターであるダン・バルガノ氏が、情報公開法に基づいて彼の電子メールの開示請求をしたとき、驚きと落胆を隠せなかったとエポックタイムズに語った。

「原稿の不当な扱いにつながるような不正行為や著者と編集者との間の論争があったわけでもないのに、科学雑誌の特集号のゲスト編集者と著者との間の電子メールのやり取りを調べるように要求するのは、極めて異例なことだ。この内容にはかなり驚いた」

ニコロフ氏は当初、シュミット氏が気候の「自然要因」に焦点を当てた『Climate』誌の特集号のトピックに腹を立てただけだと考えていた。

「しかし、この情報公開請求はシュミット氏が環境研究・地球科学センター(CERES)に対して行った、より大きな中傷キャンペーンの一環であったことに、私は後になって気づいた」

ニコロフ氏によれば、シュミット氏はこの調査結果が気に入らなかったようで、その理由は「過去150年間の温暖化は主に『温室効果ガス』の人為的排出によるものであるというIPCCの主張を否定するものだから」だという。

しかし、シュミット氏は、通常の査読出版プロセスを用いて、論文の著者と科学的議論を交わす代わりに、「査読を受けていないブログRealClimate.orgを通じて、CERESグループに対する偽情報、中傷キャンペーンに乗り出すことにした」と、ニコロフ氏。

「このブログは人を見下し、嘲笑するような、学問的水準に照らして非難されるべき言葉を使っている」と付け加えた。

ニコロフ氏はまた、シュミット氏がCERESの論文について「好奇心旺盛な読者に実際の調査結果を見直す気をなくさせる」ために、誤った説明をしていると非難した。

2019年9月20日、豪シドニーで開催された気候ストライキ集会に先立ち抗議する少女たち (Jenny Evans/Getty Images)

「政府科学者でありNASA研究所の所長が、査読のないブログを通じて、査読のある文献に掲載された科学的情報の歪曲や虚偽の表現に関与しているのを見るのは残念なことだ」と彼は述べ、「学術倫理の基準に違反している」と指摘した。

「もしシュミット博士がCERESグループによって発表された結果に異論があるのであれば、新しく改良されたデータ分析によってこれらの結果に反論する論文を書き、発表するのが通常の対応であろう。情報公開請求によって『汚点』を見つけることで、著者やジャーナルのゲスト編集者の信用を失墜させようとすることは、間違いなく標準的な科学的プロセスの一部ではない」

アテネ工科大学のデメトリス・コウトソイヤニス教授もまた、人為的温暖化説を否定する研究結果を発表しているが、もし背景や歴史を知らなければ、マン氏とシュミット氏による最近の批評を受け入れていた可能性もある、とエポックタイムズ語った。

しかし、その背景と歴史、特に主要な気候科学者たちが反対派を黙らせ、データを隠蔽し、自分たちのモデルの欠陥を隠蔽しようと共謀していたことを暴露した悪名高い「クライメートゲート」の電子メールを考慮すると、批判者たちは「偽善的」であるとコウトソイヤニス氏は考えている。

「異なる意見を封じ込め、検閲しようとする試みが失敗したときだけ、彼らは批評に頼るのです」と彼は言い、クライメートゲート事件で暴露されたのと同じ手法が使われ続けていると指摘した。

「このような徒党が、気候変動の脅威から世界を救う救世主であるかのように装うのは皮肉だ。彼らがすることは、意図的であれ無意識であれ……非常に暗い政治経済アジェンダを推進することなのだ」

シュミット氏とマン氏にコメントを求めたが、本記事掲載までに返答は得られなかった。

(完)

受賞歴のある国際ジャーナリスト、教育者、作家、コンサルタント。フリーランス寄稿者として、エポックタイムズに記事を掲載している。共同執筆した著書に『教育者の犯罪:米国の子供を破壊するために夢想家らはいかに官立学校を利用しているのか』など。米国内外のさまざまな出版物に寄稿している。