中国軍の軍用機のべ28機が15日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に入った。1日の数としては最多。台湾の専門家は、中国当局は国内の強硬派や愛国主義者らをなだめ、国際社会に対して台湾問題で譲歩しないとのメッセージを送る狙いだと指摘した。
台湾国防部(防衛省に相当)によると、台湾西南部のADIZに進入した。中国軍の戦闘機「殲16」14機と「殲11」6機、KJ-500早期警戒管制機2機、H-6爆撃機4機などが台湾西南部のADIZに進入し、同東南部海域の上空を飛行した。
国防部シンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲氏は、台湾メディア「中央社」の取材に対して、今回の中国軍機の進入および飛行ルートは「バシー海峡を封鎖する意図がある」「南シナ海で多国軍の軍事演習を狙ったものだ」と分析した。
国防部がウェブサイトで公開する情報によると、4日から13日まで中国軍機の進入は確認されなかった。14日、中国軍のY-8対潜哨戒機1機の進入を確認した。
蘇氏は、中国当局が15日に突然、大規模な軍用機を出動させたのは現在の国際情勢と関係があると示した。
過去3カ月、日米首脳会談、米韓首脳会談とG7サミットの共同声明に「台湾海峡の平和と安全の重要性」などが明記され、国際社会では台湾への支持が広がっている。また、14日、ベルギーで開催された北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は、中国の軍事的脅威に強い懸念を示した。
蘇氏は、中国当局は「戦狼外交」を転換し、国際社会でのイメージアップを図っているさなか、軍事圧力を強めたのは国内の(外国の批判に)「手をこまねいている」と不満を持つ強硬派を取り鎮めるためだと指摘。しかし、軍事的な行動によって、国際社会の「中国脅威論」が一段と強まる可能性がある。「中国がジレンマに陥った」と同氏は分析した。
(翻訳編集・張哲)
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