6月4日、六四天安門事件が31周年を迎えた。いまだ事件の真相が明らかにされていない。在日の民主運動組織らが都内でデモ行進や演説を行い、自国民を弾圧し、香港や台湾ほか他国の民主主義を脅かす中国共産党政権を批判した。
主催は在日組織で中国民主化を呼び掛ける民主中国陣線(民陣)。参加団体は香港民主運動組織やチベット、ウイグル、南モンゴルなど各民族団体、中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)など。参加者は東京・港区の中国大使館前で「打倒中国共産党」とのスローガンを掲げてデモ行進した。その後、有楽町駅前で街頭演説を行い、各団体代表と中国問題ジャーナリストが天安門事件により1万人もの命を奪った中国共産党政権を強く批判した。
民陣日本代表の王戴氏は、中国共産党に対して、6つの事項を要求する公開書簡を発表した。これらは、六四天安門事件の真相を調査して国民に公開すること、また中共ウイルス(新型コロナウイルス)の情報隠ぺいが世界にもたらした莫大な損害を償うこと、法輪功学習者らに対する臓器収奪および少数民族への弾圧の停止、一党権威主義システムを変更し、言論、集会、結社、および宗教の自由を認め、選挙による民主主義政治の実現など。
王氏は天安門事件後、南京市で中国の民主化を訴える政治団体の主席を務めたとして、1991年に共産党国家安全局に逮捕され、懲役10年の判決を受けた。
王氏はこのほど、台湾中央通信社のインタビューで、中国共産党に対する日本の宥和政策を批判した。天安門事件以降、欧米諸国および日本は相次ぎ中国に経済制裁を下したが、事件の真相が明らかにされないまま最初に経済制裁を解除したのは日本だと指摘した。
王氏は、中国発の中共ウイルスの情報隠ぺいによる巨額損失に対して世界が責任を追及する中、日本が習近平主席の訪問の形で、再び宥和策にかじを切らないよう訴えた。また、若い世代をはじめ現在の人々に中国共産党の残虐性を認識してもらうために、天安門事件記念行事は行われていると強調した。人々が共産党について理解を深めることで、党の崩壊に繋ぐことができると述べた。
イベントに参加したジャーナリストの野村旗守氏は大紀元の取材に応じた。
野村氏は、米国をはじめとする西側諸国がウイルス蔓延問題について、中国の責任を追及する流れに日本も加わるべきだと述べた。「これまで、日本は戦後の歴史的背景から対中姿勢において弱腰が目立った。しかし、だからといって現在進行形の共産党体制による中国の自国民および少数民族への弾圧に対する批判を止めてはならないと思う」
全人代では先日、香港版国家安全法制が可決しており、香港の民主と自由は風前の灯火と叫ばれている。野村氏は「今日の香港は明日の台湾、明後日の沖縄、つまり日本だ。香港が吸収されれば中国共産党の世界制覇は口火を切るだろう。だからこそ、世界は香港を支え、香港の味方をするべきだ」と訴えた。
米議会は先日、香港人権法案、ウイグル人権法案を可決した。そして台湾関係法もある。しかし、日本にはこのような法律がない。野村氏は、大きな原因は2つあるとした。「ひとつは、中国共産党の友と言われている公明党が、自民党の足を引っ張っている。もうひとつは、自民党内で中国共産党に取り込まれた複数の大物議員がいることが原因だ。具体的には、二階俊博氏だ。首相とほとんど同じ権限を持つとされる選挙対策を統括する自民党幹事長の座にいる。親中派の二階氏がその座にいることは、日本にとって有害だろう」と語った。
香港から駆け付けた学生団体関係者は、もし中国習近平主席の訪日が実現すれば、日本は、人権侵害などの問題を抱える共産党政権を受け入れているといったメッセージを世界に送ることになると危惧を示した。
有楽町駅前の演説には多くの聴衆が各人の訴えに耳を傾け、写真や映像を撮影する姿が見られた。
(佐渡道世)
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