六四天安門事件、英大使館が当時の人民日報記事を投稿…わずか20分で削除

2023/06/05
更新: 2023/06/05

駐中国イギリス大使館は6月4日、天安門事件について当時の様相を伝える中国官製紙を中国のSNSに投稿した。ネット検閲により20分足らずで投稿が削除されたという。他の欧州諸国の駐中国大使館も事件を想起させる投稿を行ったが多くは消されている。

英大使館は、天安門事件当日の様相を伝える共産党機関紙「人民日報」の一面をSNS「微博(ウェイボー)」に投稿したが、ネット検閲により削除された。「共産党内部において最も権威あるメディアでさえ事件当日の報道は検閲された」と指摘した。

人民日報の記事は多数の負傷者を受け入れた病院の状況を伝えており、被害の規模が窺える。中国当局は編集方針を批判し、編集者は懲役刑が下った。

天安門事件とは中国共産党が軍を動員し学生と市民を虐殺した事件。機密解除された英公文書によれば少なくとも1万人が犠牲となった。中国国内では事件の情報が厳しく規制され、学校教育でも扱うことが禁じられている。検索しても結果に表示されない。

英大使館は「中国憲法で規定されている結社・集会・言論の自由は、当時も今日においても保障されていない」と批判した。

欧米の駐中国大使館もそれぞれ事件を示唆する投稿を行った。

スウェーデン大使館は6月4日、1931年の労働紛糾で軍が発砲した事件について投稿。大規模な抗議活動が勃発し、治安活動に軍隊を投入することが禁止されるきっかけになったと書き込んだ。

オランダ大使館はウクライナ戦場で破壊されたロシア軍の戦車を投稿。「この戦車は、民主主義の脆さと強靭さを体現している」と書き込んだ。

6月4日、オランダ駐中国大使館のウェイボー投稿(スクリーンショット)

ポーランド大使館は、6月4日は自由と権利の日であり、民主化を果たした1989年に初めて行われた選挙の様子を投稿した。中国のネットユーザーによると、この投稿は一度削除されたが、大使館側は再び投稿した。

カナダ大使館も「歴史上のこの日を決して忘れない。言論・集会・結社の自由そして信仰の自由は、この世界の普遍的価値観である」と投稿した。のちに削除されるも、スクリーンショットを再度投稿したという。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。