中国国有鉄道会社、国家鉄路集団はこのほど、中国と欧州を結ぶ貨物鉄道、「中欧班列(チャイナ・レールウェイ・エクスプレス)」に深刻な空コンテナの輸送問題があると公に認めた。中国国内と香港のメディアが相次いで報じた。
同定期貨物鉄道は、中国当局が主導する巨大経済圏構想「一帯一路」を支える重要な交通インフラだ。国家鉄路集団は、中国と欧州および「一帯一路」沿線国との間で、国際鉄道貨物輸送を運営する唯一の事業者である。香港紙は、空コンテナ輸送が「一帯一路」プロジェクトに横行する資源の浪費と詐欺行為を浮き彫りにしたと指摘した。
中国紙・中国経営報は16日、「過去には41個のコンテナを載せて出発した中欧班列のある列車が、今は1個のコンテナのみに貨物が積まれ、残り40個はすべて空っぽだと国家鉄路集団の関係者が語った」と伝えた。
国家鉄路集団の担当者は今月中旬、政府系メディア「環球時報」の取材に対して、空車運転が事実だと認めた。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト20日付は、多くの地方政府は「中欧班列」の利用を通じて、中央政府に対して「一帯一路」への支持を示したい狙いがあるとの見方を示した。また、多くの中国輸出企業は、同貨物列車で空コンテナを輸送することで、中央政府と地方政府から補助金をだまし取ろうとしているという。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)上級研究員のジョナサン・ヒルマン氏は、空コンテナの輸送問題は、「短期的な政治利益だけを重視するが、長期的な経済ファンダメンタルズを無視するという一帯一路政策の特徴と一致している」と指摘した。
サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によれば、2018年、中国の財政部(財務省)は、中国と欧州間の鉄道貨物輸送に関して最高50%の補助金を支給した。今年、同省は補助金を40%に縮小したが、依然として高水準を維持している。
同時に地方政府も高額な補助金を与えている。2018年、西安市政府が欧州向けの貨物コンテナに対して、1個につき3000ドル(約32万円)の補助金を給付した。
同紙は、中国国内鉄道会社の担当者の話として、輸送時間は海運と貨物列車の間に大差はないが、コスト的には貨物列車は海運の2倍だと指摘した。
(翻訳編集・張哲)
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