米国を旅行中の20代の中国人男性がこのほど、「台湾は中国に統一されてはいけない」と主張する動画をYouTubeに投稿した。中国国内と台湾インターネット上で大きな反響をよんだ。
ネットユーザー(YouTubeアカウント・Vlog心声)の劉さんは10月26日の動画で中台関係について、「中国共産党政府と台湾政府は実に二つの独立した政治実体で、完全に異なる政府となっている」「台湾は絶対に中国に統一されてはいけない。でなければ、(台湾は)自由と民主的な選挙を失うことになる」「今日、台湾はすでに自由社会になっている。将来、中国大陸で自由民主的な選挙が実施することができたら、その時統一の話をしても良いだろう」と述べた。
台湾や海外中国語メディアが報道したため、数日間で同動画の再生回数は46万2615回まで急増した(6日現在)。
コメント欄には1万2825件のコメントが殺到した。台湾や香港のネットユーザーのほか、中国当局のネット規制を回避してYouTubeにアクセスした中国人もいる。
「あなたは勇敢な中国人だ。正真正銘の愛国者、愛民族者だ。真実を言ってくれてありがとう!」「壁は愚民しか封じ込められず、賢者・自由を求める人々の心を封じ込められない」と支持する声が相次いだ。
また、一部のネットユーザーは、「お願い!もう中国に帰らないでください。理由もなく蒸発するよ」と劉さんの身の安全を案じた。
台湾市民とみられるネットユーザーは、「一部の台湾人は実に、中国と統一したいと思っている。ただ、中国共産党政権と統一したくないだけだ」と書き残した。
10月31日、劉さんはYouTubeに新しい動画を投稿した。これによると、前回の投稿後、中国警察当局は国内の家族に対して、「劉さんは動画削除と言論発表を中止しなければならない」と要求した。また、複数の知人が劉さんに「謝罪するよう」と連絡してきたという。
「この数日間、多くのことを経験した。私は客観的な事実を言っただけ。何を間違えたというのか。事実を言っただけなのに、なぜ謝罪しなければならないのか」
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国国内の「愛国者」が劉さんを罵倒し、彼の身の安全を脅かした。ネット上では劉さんの実名、住所、電話番号などの個人情報が流出した。
劉さんは31日の投稿で、過去数日間の出来事で「事態の深刻さに気付いた」と述べ、「言論自由の重要さを改めて感じた」とした。また「台湾は事実上独立している。これは事実だ」と再び強調した。
また、劉さんは「ある先生が、私の発言は売国言論だと言った。でも、官僚ではない私は国を売ってはいないし、国を売ることもできない」と皮肉った。
劉さんは11月3日、米国の中間選挙について再び動画を投稿した。「米国の選挙は偽選挙だと聞かされてきた。でも、われわれ(中国)は偽の選挙すらない!」
台湾人ネットユーザーはこの投稿をみて「まだ中国に帰ってなくて良かった」「絶対に中国に帰らないで」とコメントした。
劉さんは5日、YouTubeに動画を投稿し、2017年からインターネットに時事評論を含めて様々な動画を投稿したことがあると述べた。「台湾の自由民主に関する動画は一人で制作し、家族・友人とは関係ない」と強調した。中国当局が、劉さんの家族らを脅かしていると示唆した。
「今回の騒動で、(中国共産党の支配下にある)この社会について、さらにはっきりと認識することができた」
(翻訳編集・張哲)