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中国 制服を着た「ならず者集団」に庶民がついに反発

「生きるための反抗」 露天商と都市管理局職員が衝突=中国・河南

2025/10/30
更新: 2025/10/30

10月27日夜、中国・河南省商丘(しょうきゅう)市の夜市「応天街」で、露天商と城管(都市管理局の職員)が激しく衝突した。

現場には怒号が響き、救急車が8台も出動する大混乱の事態となった。映像には、流血して倒れた人を抱きかかえる市民や、怒って叫びながら城管に立ち向かう露天商の姿が映っていた。

 

衝突の最中、怒号が飛び交う夜市の通り、2025年10月27日、河南省商丘市。(映像よりスクリーンショット)

 

なぜ衝突する事態になったのか。

中国で民衆が集団で抗議や衝突を起こす「群体性事件」について追跡しているX(旧Twitter)のアカウント「昨天(@YesterdayBigcat)」によると、露天商の証言では「生活できず、仕方なく営業を再開したところ、城管が暴力的に追い出そうとした。その瞬間、周囲の商人たちの怒りが爆発し、集団的な抗議活動に発展した」という。

事件の背景には、地元当局が「大気汚染防止」を名目に夜市を100日以上閉鎖した政策がある。同夜市は庶民が日銭を稼ぐ最後の場所であり、焼き餅や串焼き、衣料品などを売って家族を養う生活の糧だった。

しかし当局は、当初「無許可の屋台のみ」を対象としていた取締りを、9月以降には「営業許可を有する露天商」にまで拡大した。その結果、長期にわたる営業停止を余儀なくされた商人らは、収入の途を断たれ、家賃の支払いすら困難となり、子どもに与える食事にも事欠くほどの窮状に追い込まれている。

 

衝突の最中、怒号が飛び交う夜市の通り。10月27日、河南省商丘市。(映像よりスクリーンショット)

 

城管は本来、都市の秩序維持を担う「都市管理職員」である。しかし、その実態はしばしば暴力的な執行部隊と化している。制服に身を包み棍棒を携える一方で、その法的権限は極めて曖昧であり、市民の間では「制服を着たごろつき」として恐れの目で見られているのが現状である。

商丘の露天商たちは、長年にわたり理不尽な取締りに耐え、暴行を受けても声を上げることなく沈黙を守ってきた。だがこの夜、生活の基盤を奪われ続けた人々の忍耐は、ついに限界に達したのである。

市政府はその措置を「環境保護のため」と説明しているが、市民の多くは「再開発の口実にすぎない」と受け止めている。経済が停滞し、雇用の機会が失われる中、夜市は人々にとってまさに「生きる最後の砦」であった。その砦が力ずくで破壊されたとき、鬱積していた怒りの炎はもはや誰にも抑えられなかった。

商丘の夜を覆った混乱は、長く抑え込まれてきた庶民の叫びが、ついに噴き出した瞬間であった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!