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円146円台 相互関税で約3円の急激な円高ドル安 米景気懸念が背景

2025/04/03
更新: 2025/04/03

3日早朝の外国為替市場で、ドルが急落し、円相場は一時1ドル=146円台後半まで上昇した。これは3月11日以来の円高水準であり、前日夕方の149円60銭台から約3円の急激な円高・ドル安となった。市場では、トランプ米大統領が発表した「相互関税」の内容が、予想以上に厳しいものだったことに、その背景があるとの見方が広がった。

「相互関税」の衝撃

トランプ大統領は2日、すべての輸入品に最低10%の関税を課すとともに、国別に異なる上乗せ税率を設定する「相互関税」を発表した。日本に対しては24%、中国に34%、EUに20%などといった高い関税率が適用されることになる。この政策は、アメリカと貿易相手国との間で、同等の関税率を求めるものであるが、市場では、その影響がアメリカ経済に悪影響を及ぼすとの懸念が広がった。

市場では当初、この発表が「交渉材料」として使われる可能性もあると見られていた。しかし、実際には、想定以上に強硬な内容であったため、ドル売りが加速した。

米景気への不安とドル安

この「相互関税」による影響として、アメリカ国内の物価上昇や製造業への打撃が懸念されている。ゴールドマン・サックスは、これにより、アメリカが1年以内に景気後退に陥る確率を、20%から35%に引き上げた。また、製造業購買担当者景況指数(PMI)は、3月時点で49.0と縮小傾向を示しており、関税政策によるさらなる悪化が予想されている。

為替市場では、このような米経済への不安から、リスク回避の動きが強まり、ドル売り・円買いが進行。ユーロやポンドに対しても、ドルは下落し、多くの主要通貨で全面安となった。

日本経済への影響

日本もまた、この「相互関税」の影響を免れない。24%という高い関税率は、日本企業の輸出競争力を低下させるだけでなく、日本経済全体にも悪影響を与える可能性が指摘され、大和総研のレポートによれば、この政策による日本の実質GDPへの下押し圧力は、短期的には0.6%、中期的には1.8%に達する見通しだ。

さらに、日本株式市場も大きく揺れた。日経平均株価は一時1600円以上下落し、その後やや持ち直したものの、終値では989円安と大幅な下げ幅を記録した。

今後の展望

「相互関税」の具体的な運用方法や各国との交渉次第では、政策内容が緩和される可能性も指摘されている。しかし現時点では、不透明感が強い状況が続いており、市場では、短期的なリスク回避ムードが続くとの見方が優勢だ。

大紀元エポックタイムズジャパン記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。