[ソウル 16日 ロイター] – キューバ駐在の北朝鮮外交官が昨年11月、妻子と共に韓国に亡命していたことが分かった。韓国メディアが16日に報じた。韓国に亡命した北朝鮮外交官としては2016年以来最も高位という。
韓国の主要紙「朝鮮日報」によると、亡命したのは在キューバ北朝鮮大使館で参事官を務めていたリ・イルギュ氏。同紙はリ氏のインタビューを掲載した。聯合ニュースも政府筋の話としてリ氏の亡命を報じた。
韓国統一省はコメントを控えた。
朝鮮日報によると、リ氏は北朝鮮の長年の友好国キューバが韓国と国交を樹立するのを阻止する任務などを担っていた。両国は今年2月に国交を樹立した。
リ氏は家族と共にキューバから出国したと語ったが、詳細は明らかにしなかった。「航空券を買い、亡命の6時間前に妻と子どもに電話で決意を伝えた。韓国とは言わず、海外で暮らそうと言った」と振り返った。
リ氏は1999年に北朝鮮の外務省に入省。13年にキューバから武器を運んで拿捕(だほ)された北朝鮮船の解放を巡り、パナマとの交渉を成功させたことで金正恩朝鮮労働党総書記から表彰を受けたことがある。
北朝鮮体制への幻滅や自身の仕事に対する不当な評価などが理由で亡命を決意したと話した。
昨年治療のためにメキシコへ渡航する申請が却下された時に最終的に決断したと明かした。脱北によって報復を受ける恐れのある同氏と妻の両親は既に他界していると述べた。
韓国政府のデータによると、10年前は2700人に上った韓国への脱北者は昨年は196人にとどまった。人権団体によると、中朝国境の通過が厳しく制限されていることや多額の仲介料がかかることから、韓国に入国する脱北者は減少している。最近の脱北者の大半はリ氏のように海外に長く住んで人だという。
直近で韓国に亡命した北朝鮮高官は16年に脱北した元駐英公使の太永浩氏。太氏は16日、フェイスブックに「ようこそリ参事官」と投稿した。リ氏とは外務省で卓球の試合をしたことがあるという。
「北朝鮮の元外交官全員が力を合わせ、統一運動に尽力し、北朝鮮当局者と国民の子供たちが韓国で自由に暮らすという夢を実現してほしい」と記した。
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