近年、中国国内では、当局による言論や報道への規制は強まる一方だ。
中国当局は昨年、ネット上の投稿について「違法あるいは不適切な内容」であるとして5400万件以上を削除し、680万件以上のアカウントを閉鎖している。
今年3月には「ネット空間浄化キャンペーン」と題し、セルフメディアへの規制強化の一環として、発信内容への監視を強める方針を示した。
最近では、中国国内の「経済・金融系メディア」が取り締まりの重点目標となっているようだ。当局による監視のポイントは、中国経済について「悪口」を言ったか、イメージを悪くした疑いがあるか、などである。
最近、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、「虚偽の情報を広めた」として国内メディアを提訴したことがわかった。ただし裁判所の公告では、具体的にどのような「虚偽の情報」を広めたのかに関する明記はない。
今月27日、南方出版伝媒股份有限公司(以下「南方伝媒」)は、「傘下にある子会社の広東時代伝媒集団有限公司(以下「時代伝媒」)が26日、CSRCからの提訴通知を受け取った。当局の調査に協力する」と発表した。
また「南方伝媒」は今後、金融・経済分野における報道の管理を強化する、としている。
CSRCに提訴された「時代伝媒」は、金融メディアや生活系メディアなどを中心に、新聞1紙と雑誌12誌を運営している。
中国経済は現在、衰退の一途をたどっている。中国国内の「経済・金融系メディア」が書く「悪口」を当局がいくら規制しても、そうした事例が無数にあることは隠しようもない。実際、中国の不動産市場は低迷し、失業率は高止まりしたまま回復の兆しは一向に見えないのだ。
住宅ローン金利の引き下げや価格制限の撤廃など、「市場を救うための5つの提言」を先月発表した中国の経済小説作家・呉暁波氏のウェイボー(微博)アカウントが今月26日、投稿禁止の処分を受けた。
現在、473万超のフォロワーを有する呉氏のSNSアカウントは、昨年6月にも同様の処分を受けている。
呉氏のSNSアカウント封殺をめぐり、証券アナリストの「壹零壹捌露西」は自身のウェイボーで、次のように嘆いた。
「本当のことを言う人に、良い結末はない。任澤平氏(著名な経済学者)も以前は本当のことを多少は言っていたが、今では転職してネット販売をしている。まさに今のネットは、善良な人に悪事を強要するような雰囲気になっている」
「中国経済のイメージを悪くした」として当局がメディアを規制しても、瀕死の状態にある中国経済が回復するわけではない。ますます強まる言論規制に対し、世間の反発は大きく、民衆の不満もくすぶっている。
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